第十三話 生存
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「いや、儂こそすまぬ。お主の気持ちを考えていなかった。」
火影であるが故に“人ではなかった”のかもしれん。いや、“人であること”を忘れようと、または捨てようとしていたのかもしれん。
「皆の葬儀はいつ、行われるのでしょうか?」
「明日の正午、行う予定じゃ。」
イナリはそう言うと、明後日の方向に顔を向けている。あの方向、共同墓地のほうであろうか。ここからは見えないところにある。それでも、そちらを向いて何かを感じているのだろうか。
「イナリ、話を変えようかの。」
「・・・はい。」
「ただ、どちらにしろ、おぬしには辛いかもしれんが・・・」
そうなのだ、こちらの話もイナリにとっては人生を大きく左右するものである。
「・・・かまいません。」
「わかった。もう一つの話は、お主の“青い炎”についてじゃ。その炎がどんなものか、話してくれるか?」
「はい。あれは・・・そもそも私の意思ではありません。気がつくと守ってくれる、そのような感じでした。最初は、あの夜・・お父様、お母様が殺された夜に初めて“青い炎”を見ました。そして、二度目はこの前の戦闘です。」
一度、ふぅっと息を吐くと、彼は話を続けた。
「あの時・・・僕たちの足元で敵の攻撃が爆発しました。その威力は凄まじく、さすがに死んだと思いました。しかし、気がついてみるとほぼ軽傷で火傷もなかったんです。そして、周りを見渡すとハナとカタナが青い炎に包まれて倒れていたんです。何故だか、その炎が彼らを守ってくれたんだと感じました。」
「自分だけじゃなく、仲間も助けたと?」
それは初耳だ。
「はい、何故だかわかりませんが・・・」
「うーむ、そのようなことが・・・、話を続けてくれ。」
「はい、もう一つ気になることがあります。お父様、お母様が殺された夜から、意識をすれば・・ですが、敵意を感じるようになりました。」
「敵意・・・とな?」
まさか、いや、あり得る話ではある。
「敵意があるものが赤く光るのです。ぼくの頭の中で。だから、敵意があるものがどこに、何人、どうしているのか、が何となく分かります。それがこの前の戦闘で、自分を纏っている炎を放出したときにより明確に見えたんです。」
「なるほど・・・そういうことか。」
儂は目を瞑り、少しばかり考えに耽る。
これは決まりと見るべきだろうか。うむ、そうだろうな。これは“力の一端”の話ではない、“力の本質”だ。
しかし、イナリはこれから生きていく上で辛くなるやもしれぬ。生きるのが辛いと思うようになるかもしれぬ。ただでさえ、イナリは多くの大切なものを犠牲にしているとういのに。
「イナリ、よく聞いて欲しい。これから話すことはお前の“一族”、“母親”
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