暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第51話 結局子供は親が好き
[1/10]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 ヒーローは遅れて登場する。
 その常識を体言したかの様に、銀時は正しく絶妙なタイミングで皆と合流する事が出来た。目の前に居た無数の浪人達とおまけで老人を跳ね飛ばし、銀時達は晴れて新八達の元へと馳せ参じてきた。
「おいおい、何だか大変な事になってねぇか? これって一体どう言う状況だよ。おい、新八」
 相変わらずけだるそうな面持ちで銀時は目の前に居る新八に目線を向けてきた。何かを尋ねる際にはその人の目を見て話す事。これは社会の常識だったりする。
「なんですか?」
「一体この状況はなんだ? 3行以内で簡潔に述べつつこの状況を打破して見せろ」
「無理ですよそんな偉業!」
 新八の言葉は決して変換ミスなどではない。実際問題小説で山場シーンをたったの3行で片付ける事など無理に等しい。それこそ効果音だけで全てを表現しなければならなくなり小説ではなくなってしまうからだ。
「ま、無理なのは知ってたよ」
 答えなど待ってなかったかの様に銀時は頭を掻き毟って言った。どうやら無茶振りだったようだ。毎度の事ながら。
「とにかく、此処に長居しても良い事なさそうだな。とっととけぇるぞ。早く帰んねぇと午後のロードショーに間に合わなくなっちまうからよ」
「銀ちゃん。今日のロードショーは【エイリアンVSヤクザ】アルよ」
「マジでか? そりゃ見逃す手はねぇぜ!」
 などと言葉のキャッチボールを一通りし終えた後、その場で話についていけていない老人をひとり残して銀時達はその場を後にしだす。
「ま、待て! 勘七郎をこっちに返せ! その子はわしの孫じゃ!」
「あん?」
 銀時が振り返ると、律儀にリンゴを両手に持ったままの老人が立ち上がりこちらを睨んでいる。かなり怖い目線で射殺す様に見ている。
「あっそうなの、って事はこいつはお前の孫って事か」
「どうするの? お父さん」
 すぐ横に居たなのはが見上げるようにして銀時に尋ねてきた。つい先ほどまでその赤子に嫉妬していたのだが、今となってはその赤子が何所か愛おしく見えてしまっていた。これも母性と言うのだろう。
 銀時はそんななのはと先ほど新八達が助けた女性を、そして例の老人を交互に一瞥した後に、再度女性に目線を向けた。
「ところでお宅、どちらさん?」
「あ、あの……私、お房と言います。その勘七郎の母です」
「あぁ、母ちゃんか。つまり爺ちゃんと母ちゃんの赤子の取り合いって訳か。おい、お前はどっちが良い?」
 銀時が背中に背負っている赤子の方を見つつ尋ねてみた。赤子はその問いに対し「あぶっ!」と一言声を挙げた。その声を聞いた銀時は理解したかのように、後ろに居たお房に向い赤子を投げつけてきた。突然の出来事にお房は驚きながらも赤子を見事に両手でキャッチ出来た。
「な、何の真似だ!?」
「悪ぃなぁ爺さん。爺の汚い乳し
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ