第51話 結局子供は親が好き
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げてくんなぁ」
「うぬっ、仕方あるまい!」
半ば口惜しそうにしながらも賀兵衛は勘七郎を連れて逃げようとする。だが、そんな賀兵衛の腕に抱かれていた勘七郎が突如愚図り始めたのだ。まるでこの男に抱かれているのを嫌がっているかのように。
「こ、これ! どうしたと言うのだ? 大人しくしろ」
「おいおい、赤ん坊のあやし方を知らねぇらしいなぁ。俺が手ほどきしてやろうか? これでも俺経験者なんだぜ」
「な、何だと!?」
「ガキってなぁ正直な奴でよぉ気に入らない奴に抱かれてるとむしょうに愚図るところがあんだぜ。俺もそれにゃ苦労したもんだぜ。何せ俺が育てたガキは上も下も超がつく程の泣き虫だったからな」
肩を切られたと言うのに何処にそんな言葉を吐く余裕があると言うのか? 賀兵衛はそう思いながら自身に言葉を投げつけてきた銀時を見た。確かにそうだった。勘七郎は銀時と一緒に居た時はとても大人しかった。それどころか寧ろ活き活きしていたようにも見える。些か不満だがお房に抱かれていた時も大人しかった。
何故、何故自分の時では駄目なのだ!
不満と憤りを胸に賀兵衛はエレベーターに乗り上へと逃げた。
「新八、お前等はさっさとあの爺さんを追え!」
「え? でも銀さんは―――」
「心配すんな、すぐに追いつく!」
銀時のその言葉を聞き、新八は頷き、皆を先導して賀兵衛を追う事にした。銀時がこの言葉を裏切った試しがないから、新八はその言葉を信じて先に行く事が出来るのだ。エレベーターに向っていく新八達を似蔵は遭えて無視した。彼等に切りかかるのは容易いがそうした場合真っ先に銀時の邪魔を受ける。第一小物には興味がない。今似蔵が相手にしたいのは目の前にいる侍只一人だからだ。
一同が先を急ぐ中、なのはだけはその場に留まって銀時を見ていた。
「どうした? お前も早く行け」
「でも、お父さんその怪我……」
「こんなの掠り傷にもなんねぇよ。唾でもつけときゃ治る。早く行け! お前も万事屋の一員って自覚があんなら分かるだろ?」
「う……うん!」
なのはは深く頷き、そして新八達の後を追った。そのなのはが似蔵の横を通り過ぎた際、似蔵はなのはにだけ視線を向けた。まるで彼女に少しだけ興味を持ったかの様に。賀兵衛の後を追って新八達も上へと向った。これで此処に居るのは銀時と似蔵だけになる。
「今のがあんたの育てたって娘かい?」
「あぁ、手の掛かるガキだが愛着がついちまってなぁ」
「なる程、目は見えないが魂を見ればそれがどんな人間かは大体検討が着く。あの娘は綺麗な魂をしてたねぇ。ありゃ将来別嬪さんになるぜぇ」
「そうかい、そりゃ父親冥利に尽きるってもんだ。将来彼氏選びは慎重にさせないとなぁ」
「だが、一つ引っ掛かる点がある」
顎を擦りながら似蔵は考えるような素振りを見せた。あ
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