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駄目親父としっかり娘の珍道中
第51話 結局子供は親が好き
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い。正に神速の領域だった。
「てめぇ、あの時の!」
「よぉ、今度は両手が開いてるみたいじゃねぇか。だが、そんなに大所帯じゃあん時の方がやり易かったかい?」
 男がそう言うと懐から目薬にも似た容器を取り出し、鼻にあてがい2,3回容器をプッシュしていた。どうやら鼻炎持ちのようだ。全く関係ないけど。
「流石だな、似蔵。盲目の身でありながら居合いの達人となったその腕前、しかと見せて貰ったぞ」
 後ろから声がした。見れば、橋田賀兵衛が余裕の笑みを浮かべながら一同の入って来た道からゆったりとした足取りで似蔵の横へ歩み寄っていたのだ。
「げげぇっ、さっきの爺! まだ懲りてなかったのかよ?」
「貴様等と同じよ。切り札は最後まで取っておくとな。ワシの切り札はこの似蔵よ。其処で転がっている有象無象とは格が違うのだ!」
「そうかい……うっ!」
 言葉の途中で銀時は肩に痛みを覚えた。見れば肩口が裂け、血が噴出しているのが見えた。今になってこの痛みを感じるとは。奴に斬られたとしても相当な腕と見える。
「お父さん!」
「ちっ、お前等はどこも斬られてねぇか?」
 肩を抑えながら銀時が皆に尋ねる。見た所誰も斬られてはいないようだ。どうやら最初から銀時狙いだったのだろう。だが、一同が守っていたお房の両手には、さっきまで抱いていた筈の勘七郎の姿が忽然と消えていた。
「か、勘七郎が! 勘七郎が居ない!」
「あぁ、その赤子ならこっちに居るけどぉ? いけないなぁ、母親なら落とさないようにちゃんと抱いてなきゃぁ」
 再度似蔵を見入る。其処には天に掲げた鞘の先に引っ掛かっている勘七郎の姿が見えた。あの時の一瞬で銀時の肩を切り裂き、更に勘七郎を奪ったのだろう。恐ろしいまでの早業だった。
「おうおう、随分と手癖の悪い事じゃねぇか。居合いをする奴ってなぁ大概そんなのが多いってかぁ?」
「さぁねぇ、俺も居合いを使うが他の奴らがそうかどうかは分からねぇなぁ。ま、俺は確かに手癖の悪い奴かもな。でなけれりゃこんな商売やってないしねぇ」
「あぁ、そりゃそうだなぁ」
 互いに見入りながら言葉を交し合う。しかし、その言葉には馴れ合う要素など欠片もない。一触即発な雰囲気が漂っていた。
「ふふふ、似蔵よ。勘七郎が手に入ったのであればこいつらに用はない。即刻切り捨ててしまえ! ワシはその様を此処でゆっくりと見物させて貰うぞ」
「そうかい、だけどそりゃ無理って話だぁよぉ」
「何?」
 似蔵の言葉に疑問を感じた賀兵衛は似蔵を見る。其処には額から血を流し膝をついている似蔵の姿があった。余裕をかましていたようだが、どうやら先の一撃で銀時に諸に食らってしまったようだ。
「どうやらあの男が相手じゃ俺も本気を出さないといけないらしい。あんたの警護までは出来そうにねぇや。早いとこそのガキを連れて逃
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