ヘルヘイム編
第20話 剥がれ始める
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ため避難してきた住民の目がこちらに向いた。だが、光実にそれらを気にする余裕はない。舞への釈明だけしか頭になかった。他でもない、舞だから。
「ちがい、ます……関係、ありません。ユグドラシルは関係ないんですっ……だから……」
おねがい。きらいにならないで。その想いだけがぐるぐると回って、目尻に辿り着いて、涙に変わる。
情けない。好きな人の前で、男の自分が泣くなど、恥ずかしいだけなのに。
「分かった……ごめん、ミッチ。いるよ。ミッチがいいって言うまでここにいるから。泣かないで? ね?」
「すい、ませ…っ」
俯いた光実の頭を、舞がゆっくりと撫でた。その感触はそのまま縋りたいほど暖かくて。
貴虎のように秘することもできなければ、碧沙のように懐を曝け出すこともできない。
中途半端な自分が情けなくて、悔しくて、一層、涙が落ちた。
その涙を、舞は戸惑いながらも、スカーフで拭ってくれた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ