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少年少女の戦極時代U
ヘルヘイム編
第20話 剥がれ始める
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ため避難してきた住民の目がこちらに向いた。だが、光実にそれらを気にする余裕はない。舞への釈明だけしか頭になかった。他でもない、舞だから。

「ちがい、ます……関係、ありません。ユグドラシルは関係ないんですっ……だから……」

 おねがい。きらいにならないで。その想いだけがぐるぐると回って、目尻に辿り着いて、涙に変わる。
 情けない。好きな人の前で、男の自分が泣くなど、恥ずかしいだけなのに。

「分かった……ごめん、ミッチ。いるよ。ミッチがいいって言うまでここにいるから。泣かないで? ね?」
「すい、ませ…っ」

 俯いた光実の頭を、舞がゆっくりと撫でた。その感触はそのまま縋りたいほど暖かくて。

 貴虎のように秘することもできなければ、碧沙のように懐を曝け出すこともできない。
 中途半端な自分が情けなくて、悔しくて、一層、涙が落ちた。

 その涙を、舞は戸惑いながらも、スカーフで拭ってくれた。
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