暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第九十四話 憂いが消えてその十四

[8]前話 [2]次話
「すぐに皆が来るから」
「アポロン兄様の周りにいる方々が」
「そう、四季の神々や烏達がね」
 太陽神アポロンの下にはそれぞれの四季を司る春夏秋冬の神々がいる、そして彼の従者として烏がいるのだ。
「だからね」
「寂しくはありませんか」
「むしろ賑やかな位だよ」
 かえって、だというのだ。
「僕の場合はね」
「では私達もですね」
「気遣いは無用だよ」
 ここでも陽気な彼だった。
「さて、日本にいる間は」
「美食も楽しむのね」
「うん、そのつもりだよ」
 まさにそうだとだ、智子にも答える。
「あの駅弁もね」
「どうやら本当に気に入った様ね」
「御飯が美味しいよ」
「あれが一番気に入ったのね」
「うん、だから他の駅弁もね」
「一つ言っておくけれどパンのものもあるわよ」
 御飯ではなくパンの駅弁もあるというのだ、その辺りもそれぞれの駅弁による。何も御飯だけが駅弁のメインではないのだ。
「それでもいいのね」
「パン?大好きだよ」
 それもまた、という口調だった。
「だから心配しなくていいよ」
「そもそもパンはj昔から食べているわね」
「ギリシアでもね」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
「パンもいいよ」
「ならいいわ。楽しんでね」
 日本の料理、特にその駅弁をだというのだ。
「存分に」
「そのつもりだよ。後一つ考えがあるけれど」
 陽気な顔に真面目なものが宿った、そのうえで彼が今言うことは。
「僕は予言の神でもあるね」
「はい、そのことも承知しています」
 聡美は兄のその言葉にも応えた。
「お兄様はデルフォイにも祀られていますし」
「そうだね、だからね」
「その予言をですか」
「それで剣士の戦いの未来を言おうか」
 こう言うのだった、妹を含めた三柱の神々に。
「それはそれでこれからの戦いに役立つわね」
「そうして欲しい気持ちはあるわ」
 彼の今の申し出にだ、智子が答えた。
「未来がわかっていると何かとやりやすいから」
「うん、そうだね」
「けれどね」
 智子はアポロンと彼の申し出にだ、こう言うのだった。
「それはね」
「嫌なのかな」
「どうもね」
 こう言っての言葉だった。
「私は予言は今回はどうかと思うの」
「?どうしてかな」
「剣士は皆自分で道を切り開いているわ」
 このことから言うのだった、何故この戦いでは予言に頼らないのかを。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ