第九十四話 憂いが消えてその十三
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「この方々を必ず」
「手術を成功させてですね」
「ご家族の下に戻ってもらいます」
こう言うのだった、確かな言葉で。
「そうさせて頂きます」
「有り難うございます、実は」
「この方々はですね」
「はい、我々では延命だけが精一杯でした」
人である彼等にはだ、それが限度だったというのだ。
「とても」
「そうでしたか」
「そうです、ですから」
とてもだというのだ。
「先生が助けて下さると」
「この方々もですね」
「喜んでくれると思います」
「それは何よりです、では」
「明後日に」
「手術にかからせてもらいます」
アポロンは微笑んで先生に告げた、そしてだった。
その話をしてからだ、アポロンは三人のところ、中田の家族がいる階の待合室で彼を待っていた三人のところに行ってこう言った。
「手術の日が決まったよ」
「それは何時でしょうか」
「一体」
「明後日だよ」
その日になったとだ、アポロンはあっさりと答えた。
「その日になったよ」
「そうですか、では」
「その時にね」
アポロンが手術をする明後日、まさにその日にだというのだ。
「救うよ」
「お願いします」
聡美は兄の前に立ちそのうえで頼んだ。
「そうすれば」
「そう、またこれで一人剣士が解放されるね」
「そうなりますので」
「僕もあの戦いには反対だからね」
この考えもだ、アポロンは述べた。
「是非共。成功させるよ」
「では成功の可能性は」
あえてだ、聡美は兄に手術が成功する可能性についても尋ねた。
「どれだけでしょうか」
「絶対にだよ」
百パーセントだとだ、アポロンは妹の今の問いに微笑んで答えた。
「僕が行うからね」
「医療の神が行うからこそ」
「そう、失敗はないよ」
絶対の自信を以て言うことだった。
「何があろうともね」
「ではお任せします」
「さて、では明後日までに心身を整えて」
こうしたことも言う。
「それからだよ」
「手術に向かわれますね」
「そうするよ、ではね」
「はい、それでは」
「今は家に帰って」
そうしてだというのだ、手術を行う日が決まってから。
「少し休むよ」
「お家はもう」
「さっき話したね、もうあるから」
今度は豊香に答えた。
「日本にね」
「そうですか、それでは」
「僕の家だよ、一人だけで住むよ」
「寂しくはありませんね」
「うん、一人暮らしにはならないから」
そのことも安心していいというのだ、そしてそれは何故かもだった。彼は自分自身の口から話すのだった。
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