第百七話
[8]前話 [2]次話
第百七話 夢中になっていても
カレー鍋にまずは野菜を入れた、そうして煮てだった。
華奈子は美奈子に顔を向けてこう尋ねた。
「シーフードはね」
「後よ」
「そうよね、まだまだね」
「焦らないでね」
「ええ、わかってるけれど」
それでもだとだ、せっかちな華奈子は言うのだった。
「どうしてもね」
「気持ちはわかるけれどね」
美奈子も華奈子の性分はわかっている、彼女のせっかちな性格をだ。だからこそあえてここで言うのである。
「ここはね」
「そうよね、我慢してね」
「お料理はタイミングだから」
これもまた大事だからだというのだ。
「もう少しだけだから」
「入れるのは待ってね」
「そうしようね」
「そうよね、それじゃあ」
「お肉ならいいけれどね」
また肉を例えに出した美奈子だった。
「あれならね」
「そうよね、煮れば煮るだけ柔らかくなるから」
「シーフードは逆だから」
「よく煮たら固くなるからね」
「カレーはじっくり煮込んでこそだけれど」
それで全体の味もよくなるのだ、だからカレーは煮込むべきなのだ。しかしシーフードになるとこれがなのだ。
「固いとね」
「よくないからね」
「そう、あくまで程々にね」
「だからよね」
「まだ先よ」
シーフードを入れることはというのだ。
「そうしてね」
「わかったわ」
華奈子は美奈子の言葉に頷いた、それでだった。
今はシーフードを入れなかった、だがその中でもだった。
二人はスパイスは入れていく、美奈子はその中で華奈子に言う。
「本の通りね」
「やろうね」
「カレーはスパイスも一杯使うから」
「カレールーだけでもいいけれどね」
「そこにさらによ」
「入れるってあるからね」
だからなのだった、それで二人はルー以外にもスパイスを入れるのだった。そのうえでシーフードを入れるタイミングを待っていた。
それでだ、遂にだった。
「いよいよよ」
「シーフードね」
「ええ、それを入れる時間よ」
「そうよね」
こうして遂にシーフードを入れる時間が来た、シーフードカレーを作る大詰めの時が近付いてきていた。
第百七話 完
2014・2・14
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ