ブラック生徒会
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まで言い切る事が出来なかった。
「ダメです」
後ろに、気配無く誰かが立つのを感じた。
「へ?虚……さん?」
後ろから、首根っこを掴まれる楯無。そして、敬愛すべき会長の命を握るのは、目が完全にいっちゃってる虚だった。具体的に言うと、目からハイライトが消えているのに、充血した瞳だけが赤黒く輝き、暗黒面もかくやという感じで蒼白な顔にダークなオーラを纏った風貌だった。まあ、こんな感じの人に後ろに立たれたらゴルゴでなくても殴りかかるだろう。抵抗しなかったのは、大切な付き人だからか、もうそんな体力が無かったからか……
「まだ四日しか起きてないでしょう。寝るのは後二日頑張ってからです。さあやりましょうすぐやりましょう明るい学園の為に弾と散る覚悟でやりましょう」
人はそれを玉砕、もとい人身御供と言う。進んでなりたいと立候補する馬鹿はいまい。
「や、やだ!もう寝かせて!」
必死に懇願する楯無だが、嘘の手から力が抜けることは無かった。
「大丈夫です。私の計算によれば夏休みまでには片付きますから」
「夏休みまでって!?あと何日こんな生活すればいいの?」
「一カ月ですね。大丈夫、死なない程度には休みも入れますので……」
そんな事を言いながら二人は、「会長専用執務室」と書かれた赤いドアの向こうに消えて逝った。
そして、そんな二人を見送った後、一夏は一人呟くのだ。
「頑張ろう、俺」
所で、生徒会長こと楯無が処理しなければならない書類の内、「シルバームーンのコア」保有の件に関しては、はっきり言ってそこまで時間はかからない。安全確認などもほとんど形式的な物で、書類も同一内容のものを各国語に翻訳して送り付けるだけの簡単な、楯無にかかれば一週間で片がつくものだ。では、なぜ楯無はこれ程の仕事を抱え込むことになったのだろうか。答は、学園の非合理的な行動を政府に認可させるためだ。
では、その「非合理的」な考えとは?話を一旦振り返ろう。学園は一カ月前に襲撃を受けたばかりだ。秘密結社「亡国企業」の頭は行方不明のものの、結社自体は健在だと考えるのが無難だろう。当然、学園から危機が完全に去ったと考えるのは愚の骨頂だろう。危機から身を守るのにしなければならない事は「戦力を分散させない」ことだ。現在、学園には楯無や千冬がいる。余程のことが無い限り、学園には手が出せないだろう。
だが、もし、「戦力を分散させる」ことになったら?もし、臨海学校を例年通り実施することになったら?……もし、関係各所の反対を押し切って更識楯無と織斑千冬が「臨海学校」を例年通り実施するよう図っていたら?
現在の生徒会室の惨状も頷けるのではないだろうか?
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