ブラック生徒会
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心苦しさが一夏には耐えられなかった。葬儀と言う形で、彼の死を受け入れる事すら許されない。いっそのこと切嗣が死んだということを知らされなかった方がましかも知れなかった。だが、そんな状況だからこそ、今の一夏にとってこの多忙な生徒会室は不安なくらい居心地が良かった。
しかし、そんな生活も一カ月もすれば流石に疲れてくる。と言うか、明らかに労働基準法ガン無視な仕事をしているのだ。流石に愚痴の一つも言いたくなる。
「ええ、確かに俺は言いましたよ。仕事を手伝いたいって。でも」
そこで一旦区切り、後ろを振り返る。
「何なんですか、この書類の山は!?」
そこにあったのは、文字通り書類の山だった。よく比喩表現で「かき氷の山」とか言うが、そんなチャチなものでは無く、もっと恐ろしいものだった。縦八メートル、奥行き十五メートル、横十二メートルある生徒会室のスペースの三分の二が書類で埋まっているのだ。無論、全部未処理である。
「追加で〜す……」
死にそうな顔で本音が書類を運んできた。もう、本音が真面目に仕事している状況でご察し下さいという状況だった。
「一夏君。言いたいことは解りますけど、会長を責めるのはお門違いです。別に生徒会長が怠けたとか職務中にも関わらず紅茶を楽しんでいたとか妹の盗撮に勤しんでいたとかそんな理由で仕事が溜まったんじゃありませんよ」
「おいこら、そこの生徒会長。最後のはもう犯罪だろう」
「ちょっ、おまっ!私のプライベートをばらさないように!」
「いえ、そもそも普段の会長はプライベートな事しかしていませんよね?」
そこで気まずそうに眼を逸らした楯無を少し面白そうに見つめた嘘だったが、ひとつ咳払いをするとまた真面目な顔に戻した。
「と言っても、それで生徒会の活動に支障をきたすことは無かったんです。会長は、やることはやる人ですから」
「じゃあ、どうして……」
「単純に生徒会の仕事が会長のキャパを超えているだけです」
さらっととんでもない事を言う嘘だが、一夏は思わず楯無の方を見てしまった。一カ月も一緒にいれば、大体彼女の人間離れしたスペックは解ってくる。てっきり、今までのサボったつけが回ってきているのかと思ったが、実際のところは楯無にも厳しい状況にあるということだった。
「今の生徒会はまさしくブラック生徒会です。私も会長も「六日仕事をして一日寝る」というサイクリングをこなす状況で……」
「死にますよ!?」
「ふっ……私を殺したいなら、この三倍はもってこい!」
「あ、じゃあ追加で……」
「嘘です止めて下さいお願いです死んでしまいます」
「いや、そんなお経を唱えるように言わなくても……」
どっかの慢心金ぴか英雄王の様な発言をした嘘だったが、あえなく陥落した。慢心、ダメ、絶対。
「まあ
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