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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな怖がりでも前に進まなきゃいけない
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「それと怖がってることに、何の関係があるの?」
「お前は・・・感情を持っているんだぞ!」

突然、ジェーンが再び暴れ出した。この姿は子供の癇癪のようで、こちらが本当の13歳の女の子であるジェーンなのだろう。その肩は震え、顔色も真っ青だった。掴んだ機材を片手で持ち上げて壁に投げつけ、機材が砕け散る。

「お前と私は一つになっている。お前は感情を知り、外へ出たがっているんだろ!私の埋もれた感情を再構築しようとしている!!ISの学んだ感情を私に当てはめて、感情を共有させようとしてるんだ!!」

吐き捨てる様にそう言い切ったジェーンは、また涙を流す。

「壊れる・・・私は、感情を肯定したら、あの家族の記憶が嘘だって気付いた時の苦しみをまた味わわなければいけない・・・そうしたら、私は今度こそ壊れる!!知らないふりも、壊れたふりも出来なくなるんだ!!今度こそ何にもなれなくなる。名前も立場も嘘で塗り固めないと私は誰にもなれない、どこかのだれかさん・・・」

そういって再び頭を抱えようとしたジェーンの頭を、ニヒロが抱きかかえた。子供特有の身体の柔らかさとその行動に、何位をすればいいか分からずジェーンは混乱するばかり。やがて、ニヒロが口を開いた。

「大丈夫」
「は・・・?」

ジェーンはS.A.という秘密組織のエージェントだと言っていた。自分はウルーヴヘジンと呼ばれる改造人間だとも。でも、何故そうなったのかは言わなかった。それは、過去の恐ろしい記憶から逃れるために思い出すまいとしていたんだろう。まだ生まれてもいないニヒロの勝手な推論だが、何故か自信があった

「いつのことかまでは知らないけど、そのことが起きてから何年も経ってるよね?多分それはママの心が決めた準備期間。心が大きくなって、事実を受け入れられる広さになる準備」

人間は受け入れがたい事実から逃避を行う。だが、逃避の後には事実を受け入れなければいけない。そうやって人間は精神を熟成させていくって、データにあった。

「それに、ママは感情の無いふりしてたって言ってたけど、感情が無くなってたわけじゃないとも言ってたよね?パパと一緒にいるときは、時々感情を表に出してたもん。ということは、感情はまだママと繋がって成長してたんだよ」
「私の、心が・・・?」
「うん。だから、私もこうやってママと一緒に居られるようになったんだと思う」

そう考えるとママってばちょっとかわいい、と思った。さしずめ今のママはニヒロに手を引かれてお化け屋敷に突入するのを嫌がっている子供だ。どれだけ臆病なのだろうか。折角なので小っちゃいママの頭をパパがやっているみたいになでなでしてみる。

「やっ、やめろ!子ども扱いするな!私は此処にいるんだぁっ!」
「もうっ!私だって一緒に背負うんだからワガ
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