暁 〜小説投稿サイト〜
少年と女神の物語
第四十六話
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
以上、アテにヘルプを頼むわけにも行きません。疲れてるんですから、ゆっくり寝ていて欲しいですし」
「ですが、それではあなたが・・・」
「俺は、大丈夫です」

 もう一度、今度は槍を杖代わりにして立ち上がり、うずくまっている梅先輩を見る。

「絶対にあの神を殺して、馬鹿みたいな被害と引き換えにこの国を守ってやります。ですから・・・心配、しないでください」
「・・・・・・でしょう」

 俺の言葉に対し、梅先輩は小声で何か言った。

「・・・・・わけないでしょう」
「・・・えっと、なんで」
「心配しないわけないでしょう!好きな人が、そんな状態で神と戦うなど!」

 そう言いながら梅先輩は立ち上がり、俺の唇に自分のそれを重ねる。
 俺は今の体でその衝撃に耐えられるはずもなく、そのまま押し倒される形になり、梅先輩は唇を離して、俺に跨る形になる。

「えっと・・・」
「・・・私は、あなたのことが好きです」

 何を言い出したのか、分からなかったが・・・俺の頬に落ちてくる梅先輩の涙に、何もいえなくなった。

「当然ですよね。あなたが中学二年のときから、ずっと同じ生徒会にいて、今までの人生で一番話した男子なのですから。そんな感情が生まれてもおかしくない。自然、といっても問題のないことです」

 確かに、俺が生徒会に入ったのもこの人に誘われて、だからずっと梅先輩は同じ生徒会にいた。
 神代家の監視が目的で来たこともあって、俺はこの人と話す機会が多かったと思う。

「そうじゃなくても、武双君はずるかったです。媛巫女として育てられたせいで常識のなかった私は、転校当初、全く周りになじめずにいました・・・」

 それでもすぐに生徒会長になれたのは、なぜだろうか・・・

「それで一人でいた私に、あなたが始めて声をかけてくれたんですよ・・・?」

・・・はっきりと覚えは、ない。
 それでも、心当たりなら・・・ある。

「出きる限り目立たないように、一人でいた・・・周りが近づきづらいようにしていた私に、あなたは何のためらいもなく話しかけてきて・・・」

 一人で、中庭で弁当を食べている人がいるのを、見つけたんだったか。
 ある日から毎日、必ず一人で食べている梅先輩が・・・俺には、ウチに来たばかりのころの妹が、重なったんだ。

「ただでさえ監視するためにいた人に、そう簡単に仲良くするわけにも行かず・・・私は、ずっと無視していました。なのに、あなたは気にせず、何日も話しかけてきてくれて・・・気がつけば、私はあなたに恋をしていました」

 それでも、一度も話をしてくれなかったと思う。
 それどころかある日を境にいなくなって・・・学年は特定できたから、調べてみたら、転校したことになっていた。

「仲良くはし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ