06:《人類至上主義教団》VS《黄昏の君主》
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アメリカ連合国の国営テロ組織、《人類至上主義教団》は、真祖の《夜の帝国》からできるだけ離れた魔族特区を襲っている。実際、すでに何度か魔族特区を壊滅させていた。
ジャックたちの手口は簡単だ。人目を引く連続爆発テロでそちらに人員を割いておき、秘密裏にしかけた本命の爆弾で特区の主要エリアを爆破する。特に絃神島は、本島をささえるアンカーを警備する人員が少ないため、非常に簡単に爆発物を取り付けることができる。
ジャックたちが警戒するのは、真祖クラスの吸血鬼の介入――――たとえば、この島に停泊しているアルデアル公ディミトリエ・ヴァトラーや、噂の産物でしかないが、四番目の真祖と言われる《第四真祖》の存在だけだ。特区警備隊や、この島にいるという”空隙の魔女”ごときは最初から脅威に含んでいない。
なぜなら、ジャックたちは人間を守護するがゆえに、逆に人間を殺す手段にもたけているからだ。教団の戦闘員は全員が素手で獣人と戦って勝てるクラスの戦闘能力を持っているし、いくら特区警備隊や”空隙の魔女”といえども所詮は人間だ。それを超える数で押せば問題はない。
そう、《人類至上主義教団》は国営テロ組織。すでに一個の軍隊の様な存在だ。構成人数は非常に多い。
ヴァトラーに対する対策は取ってきてある。教団本部に保護されていた、《龍殺し》の称号を持つ者に与えられる神器、《アスカロン》の一つを、無理を言って借りてきたのだ。龍属性をもつ彼の”蛇遣い”の眷獣は、これで対策ができる。吸血鬼自身の戦闘能力はさほど高くないため、獣人を超える教団戦闘員の能力なら対応が可能だ。殺すことはできないかもしれないが、一時的に力を封じ込めることはできる。
第四真祖はまだ子供だという。素人同然の戦闘能力しかないという奴を封じるなど朝飯前。監視役の《剣巫》などという娘も同様だ。
この島はなすすべもない。
「ああ……もうすぐだ。もうすぐこの島は沈む……」
ジャックは愉悦を隠しきれない。
「エミリア……」
ジャックは魔族に殺された妹の名を呼ぶ。アメリカ連合国の人間にしては珍しく親魔族派だった彼女は、信じていた魔族の友人によって殺されてしまった。その最期の絶望とは、どれほどのモノだったか……。
「だから貴様らも殺す。エミリアと同じ絶望を、貴様たちに……!」
ジャックは拳を握りしめると、にやり、と笑った。
――――さて、爆発物はどうなったか。
今回絃神島のアンカーに取り付けさせたのは、アメリカ連合国で開発が進んでいる最新式の核爆弾だ。搖動のテロに使用したのも核爆弾だったが、今回のそれは以前の物とはわけが違う。うまく作動させ
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