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しるし
第二章
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第二章

「結局誰だってな」
「同じだよな、人間なんだからよ」
「けれどこの痣は」
 美月は皆同じと言ったうえでまたその痣を見るのだった。
「ずっと一緒なのよね」
「嫌か?」
「それはないわ」
 実はそれはないのだった。生まれた時からあるしそれで別にいじめられたり意地悪をされたこともない。何しろ形が形なのでまるで漫画みたいだと今のように言われることはあってもだ。それでもこの痣が原因で何かをされたということはなかった。だから愛着さえあった。
「けれど。私だけなのよね」
 ふと寂しい顔を見せた。
「この痣があるのって。お父さんにもお母さんにもないし」
「やっぱり何かあるんじゃねえのか?」
「月の戦士の証とかよ」
「だから。そういうのじゃなくて」
 漫画的な話から離れない男の子達に対して言い返す。
「この痣。お兄ちゃんにも妹達にもないし」
「普通はないよな」
「そこまで見事な形の痣はな」
「私だけなのよ」
 このことをまた言う。寂しい顔で。
「この痣。どうしてあるのかしら、本当に」
 考えてみれば不思議なことである。成長するにつれそうしたことも考えるようになっていた。だがそんな時だった。彼女の叔母、母の妹が家に尋ねてきた。美月は母親似であるが彼女もまた姉によく似ていた。その叔母がやって来たのである。
「美月ちゃん相変わらず元気みたいね」
「ええ」
 まずはその自分によく似た叔母に挨拶をした。
「叔母さんも元気みたいね」
「私もね。悪いことに旦那も元気で」
 叔母はここではふざけてきた。
「今日も野球を観に行ったわよ」
「野球に?」
「阪神の試合にね」
 言いながら顔を苦笑いにさせる叔母であった。
「全く。野球はパリーグよパリーグ」
「パリーグなの?」
「それも鷹よ」
 実は彼女はホークスファンなのだった。美月も他の一族も皆セリーグで阪神を応援しているが彼女だけはホークスファンだ。異端と言えば異端である。
「巨人応援するよりずっとましだけれどね。それで私は行かなかったから」
「ここに来たのね」
「そういうこと。まあ美月ちゃんが元気そうでよかったわ」
「それはね」
「相変わらずその痣も格好いいし」
 彼女もまた美月の痣について言うのだった。
「何よりだわ」
「この痣ね」
「嫌なの?」
 俯いてその痣を見た美月に対して問う。
「その痣。別にいじめられたりしてないんでしょ?」
「それはないけれど」 
 隠すことなく答えた。
「けれど。どうしてこんな痣が」
「ああ、それね」
 叔母は困った顔になって言う美月に対して声を明るくさせてきた。
「私にもあるわよ」
「叔母さんにも!?」
「そうよ、あるわよ」
 叔母は明るく笑いながら美月に話す。
「ちゃんとね」

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