05:《番外真祖》の事件捜査
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多くが炭化し、原形をとどめていない。
ガチャリ、という音に振り向いてみると、先ほどの特区警備隊の小隊がいた。
「も、申し訳ありません。邪魔をしてしまったようです」
「いえ、大丈夫ですよ」
かしこまった様子で謝罪する小隊長。やはり違和感がある。それを笑顔で受け流して、魔城は彼らに質問をする。
「それより、皆さんはどう思っています?この事件。誰の犯行だと思っていますか?」
「は……?……我々はどこかのテロ組織による……」
「そうではありません。犯行を行った存在の種族です」
「種族ですか……」
小隊長は考え込むそぶりを見せ、数秒後、「吸血鬼ではないでしょうか」と答えた。
「これほどの大破壊をもたらすのですから、吸血鬼の眷獣あたりの仕業ではないかと……」
「なるほど……もしかしたら公社も同じ考えで?」
「は、はい、恐らくは」
「なるほど……」
再び頷き、魔城は周囲を見渡す。仕方がない。確かめるにはこの方法しかないだろう。
「え〜っと、皆さん、少し下がっていてくれますか?」
「はい?り、了解しました……」
「おい、下がれ!」という小隊長の命令に従い、特区警備隊の小隊があわてて工場から出ていく。
「下手をすれば巻き込まれて吹き飛んでしまいますからね……『そびえたて、《九曜の世界樹》』」
瞬間――――周囲を、衝撃波が襲う。炭化した備品の一部がはじけ飛び、完全にその姿を消し去る。びりびりと大気が震える。そうして現れたのは――――
一本の、巨大な樹だった。その大きさは三メートルを優に超す。工場の天井から、その先端が見えてしまっているほどだ。驚くべきは、これが最大限にセーブした姿だという事だ。魔城が覚えている限りで、完全に解放したことは二回ほどしかないが、その時は優に一万メートルを超える巨大な樹木になったことを覚えている。
この眷獣の名は《九曜の世界樹》。暁魔城が保有する三体の眷獣のうちの一体にして、最重要の眷獣であった。この巨大なトネリコの木は、魔城の能力を決定づけていると言っても過言ではない存在なのだ。
だが、今魔城がこの眷獣を召喚したのは別にその真の能力を発揮させようと思っているからではない。
魔城は目を閉じる。風が《ユグドラシル》の葉を撫で、さわさわと涼やかな音がする。魔城は、《ユグドラシル》の心を読む。
そして――――
「公社にはこうお伝えください」
「は……?」
工場の入り口付近まで戻ってきていた小隊長に、魔城はそう告げる。
「これは吸血鬼の眷獣による犯行ではありません。別の存在……恐らくは人間が、小型核爆弾を暴発
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