第二十二話「風呂と王女と精霊と」
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いなさい」
泡立てたスポンジで背中を洗い始めた。
「いや、ちょっと待て。そもそもなんでこんなことを――」
「大人しくしてなさいっ、この私に恥をかかせるつもりなの?」
どこか拗ねたような口調で言われ、閉口する。
というか、俺は現在進行形で恥辱を味わっているんだが。
「ど、どうかしら……気持ちいい?」
(あかん……なんか知らんけどあかんっ)
前世では異性との接点がまったくなかったため、こういうときはどうすればいいのか見当もつかない。
ただただ身体を硬直させ、襲い掛かる正体不明の感情から意識を逸らすのが精一杯だ。
初めて味わう気持ち、この快楽にも似た感情は麻薬のような中毒性がある。
これはやばい、あかんと本能が全力で叫んでいる。
「――って、おいちょっと待て、どこを触ろうとしている!? そっちはいいから!」
「ダメよ、大人しく最後まで洗われなさい! 大丈夫、知り合いにここの洗い方も習ったから」
後ろから回された手が胸板を洗い、下腹部へと流れるように移動しようとする時だった。
バンッ、と勢いよく浴室のドアが開け放たれた。
そこにいたのは。美しい紫銀の髪を持つ女の子。
「エ、エスト……?」
半眼でいかにも不機嫌ですと言外に語っている剣精霊、エストさんだった。
「なにをしているんですか、リシャルト」
ジトー、と半眼でジト目を送ってくるエストになぜか焦燥感を覚える。
「ずるいです。エストを除け者にしないでください」
「いや、別にした覚えはないが……この場合はどう言えば正しいんだ?」
エストは着ていた学生服を勢いよく脱ぐと、浴室に乱入してきた。
「貴女は……たしかリシャルトくんの契約精霊だったわね」
「はい。私はリシャルトの剣。名をエスト」
「私はフィアナ。よろしくね」
和やかに自己紹介を交わす二人。それはいいのだが――。
エストは何故かスク水姿。しかも、白スク。
胸には精霊文字で『えすと』と書かれていた。
「……どうしたんだ、その水着は」
「東洋に伝わる伝統的な衣装です。この格好ならエストにかまってくれるとグレイワースが」
「あの婆ぁ……」
ずかずかとやってきたエストは俺の腕をホールドした。
スク水の絹のようなサラサラした感触やエストの体温が二の腕に伝わり、ただでさえフィアナの攻撃にいっぱいいっぱいだった脳が更に刺激される。
「エストもリシャルトの背中を流します」
彼女の意思は固い
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