暁 〜小説投稿サイト〜
深く、罪深い衝動
7
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ーよー・・・」


 俺を涙目で見上げるロズミア。
 ・・・見ていて心がとても痛む。


 「さようならだ」


 「え?パパ・・・それってどういう・・・」


 そう言い終わる前に俺はロズミアを崖から突き飛ばした。
 せめて痛くないようにやさしく押してあげた。


 きっと悲しいだろう。
 でも・・・痛くしないでやったから・・・だから・・・これで許してほしい・・・。


 「パパー!!助け・・・て・・・!?」


 ごめんな・・・。
 でも・・・楽しかったぜ・・・。


 −ロズミアサイド−


 私は落ちている。
 今堕ちている。


 お父さんが突き飛ばしたの?
 それとも・・・私が勝手に自分で落ちちゃったの?


 ねえ、お父さん・・・。
 お父さんじゃないよね・・・?
 違うよね・・・。


 そんなことない・・・よ・・・ね・・・?


 「なーに・・・?これ・・・」


 痛い・・・。
 見ると、肩に鉄棒が刺さってた。
 海に捨てられたゴミが・・・私に牙をむいている。


 海が・・・私を殺そうとしている。


 もう一度・・・もう一度お父さんのところに行くのに・・・。


 「こんなところで死ねない・・・」


 鉄棒を体から無理矢理引き抜こうとするが、抜けない。
 流石に無理ね・・・。


 なら、今度は体のほうを引き抜こうとする。
 ・・・抜けた。


 んじゃあ、今度は海岸まで・・・行かないと・・・。


 う・・・体が・・・重い・・・。
 血を・・・流しすぎたのね・・・。


 ダメ・・・ね・・・。


 こんな・・・こんな・・・ことで・・・。


 「ロズミア!!!」


 と、お父さんが海に飛び込んでくる。


 「お父さん、ここは危ないんだよ・・・?」


 「怪我・・・してるじゃないか・・・。大丈夫だったか・・・?」


 「うん・・・へいき・・・」


 「そうか・・・じゃあ、戻ろうか・・・」


 「ねえ、お父さん」


 「なんだ・・・?」


 「私って・・・生きてちゃダメ・・・?」


 ・・・だって、こんな海にさえも嫌われて・・・。
 それに、私は知っている。
 私を突き飛ばしたのはお父さん。
 助けに来てくれたけど、でも突き飛ばした。


 でも、怨んでいない。


 だって、私が生きてちゃダメなほど・・・いいこじゃなかったから・・・。


 そう思うと、涙があふれてきた。


 「・・・そうだな」


 「んじゃあ、死んだほうがいいの・・・?」


 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ