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しるし
第一章
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 ここでその痣を見るのだった。やはり右手の甲にその青い三日月を見せている。
「あったのよ。ずっとね」
「またそりゃ変わってるな」
「普通ねえだろ」
「お父さんとお母さんは私がお月様に守られてる証拠だって言うけれど」
 自分でもそれは聞いているのだった。両親は今でも彼女にこう話す。
「けれど。私は別に」
「気にしちゃいないってか?」
「気にはしているわ」
 それはそれ、これはこれだった。
「けれどね。別にお月様に守られてるなんてのは」
「考えてねえのか」
「誰だって同じじゃない」
 そしてこう皆に言うのだった。
「こういうのって。そうでしょ?」
「まあそうだよな」
「それはな」
 皆も今の美月の言葉に頷く。言われてみれば確かにその通りである。

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