暁 〜小説投稿サイト〜
覇王と修羅王
自称王と他称王
二話
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 警防署のロビーに設置された長椅子にティアナとスバルは腰かけた。
 喧嘩騒ぎを起こした三人は其々別室で事情聴取を受けていて、終わるまで手持無沙汰になってしまった。そんな中で始まる会話は、やはり今居ない者の事だった。

「アインハルト大丈夫かな?」
「ある程度持ち直したし、大丈夫でしょ」

 泣き崩れたアインハルトを持ち直させるのは、中々に大変だった。懸命に話し掛けるノーヴェとスバル、それと空腹の特効薬である朝食が無ければあと数時間費やしたかもしれない。
 アインハルトが持ち直した後はストリートファイトをしていた理由を聞き、王への拘りも聞いた。覇王の記憶と身体資質を持ち、晴れぬ無念を抱いている事。ベルカのどの王より強く在る、その一心で生きている事を。
 故に、身近に存在した王の血筋と思うアレクに固執していたのだろう。

「あたしは寧ろアレクの方が心配よ」

 対しアレクは身体資質を持っているようだったが、アインハルトと違い王の記憶など持たず、アインハルトには無い王の戦闘経験は有しているような口ぶりだった。
 だが、祖先のことなど全く興味が無く、寧ろ邪魔と感じている節がある。アインハルトと関わりたくないのは、その辺りが関係しているのかもしれない。実際は学院の屋上で生じた亀裂が原因なのだが、その事は言われなければ気付くはずもない。

 ただ、ティアナの言う心配とは、王関連の事でも今回の喧嘩騒ぎでもなかった。

「なんでただの被害者が一番奥に連れてかれるのよ」
「しかも此処の常連ぽい感じだったよね。……問答無用で引き摺られてたし」

 警防署に入り、受付に顔を出した辺りから既に可笑しかった。アレクの顔を見た受付係が「悪ガキ一丁入りました」と内線を入れたので、ティアナ達は疑問符を浮かべた。
 その後、何も無かったように受付係が記入用紙を出し、説明し始めたので聞き入った。出された記入用紙が二人分しかない事も含めた疑問を引っ込めて聞き入った。
 そして質問応答を終え、記入し始めようとした所で厳つい男がやってきて、アレクの首根っこを掴んで引き摺って行った。
 今度は何した。いやいや俺被害者だって。この前もそんな事言ってたな、何時までも通ると思うなよ。いやいやマジだって、俺ホント被害者だって、てか今の加害者は寧ろオッちゃんじゃね? まだ減らず口を言うか、今日という今日は化けの皮を剥いでやる。いやいや、皮被ってんの面的にオッちゃんの方じゃね?
 そんな遣り取りをして去って行った。

「あいつ普段なにしてんのよ……」
「あははは……。でも仲良さげだったよね」

 片や呆れ、片や乾いた笑いを。
 そんな会話を続けること数十分、取調室からノーヴェと、少し遅れてアインハルトが戻ってきた。

「アレクは?」
「まだ取り調べ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ