自称王と他称王
二話
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カジマ姉妹に掴まり、囚人のように連行された。
◆ ◇ ◆
アインハルトは部屋に入ったところで首を傾げた。
物があまり無く殺風景に感じるところは自分の部屋と同じだが、予想に反してトレーニング機器が全く無かった。
部屋は寝る為にあるとアレクは思っているからなのだが、アインハルトは部屋が狭いから置いていないのかな、と判断した。
「汗臭いからシャワー浴びてから着替えなさい」
「へ〜い」
グッバイ自由、と訳の分からない事を呟いて扉の向こうに消えていくアレクを見送ると、ティアナは設置されているキッチンの方へ行き、物色し始めた。
食器類は少なく冷蔵庫の中も粗空で、食料は段ボールに入っているブロックフードが殆んど。昨夜、送り迎えの時にした予想よりも食生活が酷い。
ブロックフードは管理局でも採用されているものなので栄養の点では問題無いが、お世辞にも美味いとは言い難く、後ろから覗き込んでいたスバルも難色を示していた。
「ん? なんだこれ?」
ティアナの行動を勘違いし、ベッドの下を物色していたノーヴェは黒い箱を発見した。
引き出して開けてみると、出てきたものは男の色欲ではなく金属製の古臭い武具。今時珍しい、と手に取ってみると相応の重さが感じられる。
何か知っているのか、とアインハルトに目を遣れば、驚き見開いていた。
警防署でアレクを待っている間、王に固執する理由は聞いている。覇王クラウスの無念を自分の事のように思い、晴らそうとしていることも。
だが、唯一所在を掴んだアレクに逃げられ、今も尚取り合おうとはしない事がアインハルトを掻き立てて続けている。
だから、王に関する事を目にすれば、他の事が見えなくなるのだろう。
「アレクさ……キャー!?」
「出てけええええっ!!」
……着替え途中のアレクに突撃して行くくらいに。
これでヴィヴィオに会ったらどんな反応を示すのか。楽しみも不安もあるが、何かしらの変化は期待できるだろう。ヴィヴィオは、アレクと違って逃げはしないから。
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