自称王と他称王
二話
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れ早かれ向かう事自体は決まっているのだが。
だがアレクはもうサボると決めていたので、ソロリソロリと車に向かう面々から離れ、気付かれる前に全速離脱した。
そして走って走って走り抜き、ランナーズハイに成りながら住むアパートに到着する頃には、頭もハイに成っていた。
ただいまマイルーム、待たせてごめんマイ枕。両手をVの字にしながら二階へ続く階段を駆け上がり、マイドアへ続く通路へ躍り出て、ラストスパートをかけようとして……身体が浮いた。
左右に立つナカジマ姉妹に両腕を掴まれ持ち上げられていた。若しかしたら走れるかな、と足をバタバタさせてみたが、やっぱり無理だった。
「おかえり〜」
「早かったな」
「どないして此処に?」
「昨夜送り迎えしたばかりなのに、すぐ忘れる訳ないじゃない」
「……そうでした」
車で先回りされていた事実に、アレクのアッパーテンションが一気にクールダウン。
だが、まだアレクは諦めない、サボる決意は変わらない。籠城戦、またの名を引き籠りとも言う手段があるのだ。かなりの日数を耐える準備もある。
その為にも先ず束縛から抜け出ないといけない。飛行魔法を習得してないが今こそ開花させる時、とあまり使ってないリンカーコアを動かすが、そんな都合の良い事は滅多に起きない。そもそも術式すら覚えていないのだから。
さてどうするか、と考え直す矢先、ティアナが近寄っていた事に漸く気付く。ついでに懐を探られていることも。
そしてスルリと抜かれた手には、マイルームのキーがあった。同時に解放されて自由が戻ったが、籠城どころか城を奪われては意味が無い。
「さて、学校に行きましょうか?」
ニッコリと、若干ご機嫌斜めっぽいお三方の笑顔に見下ろされた。逃げ出した事がお冠らしい。
こうなったら最後の逃げ場に行くしかないとアレクは思い直す。幸い自由は戻ったので、もう覇気全力全開で跳んで――
「山、ですか?」
――行く前に何時の間にか居たアインハルトに看破された。
「なんで知ってやがるこのストーカー予備軍!?」
「ち、違います! 偶々ジョギング中に見つけたので付いて行ってみただけです!」
「バリバリのストーキングじゃねえか!!」
「違います!! 偶々、偶々なんです!!」
「はいはいそこまで! 近所迷惑だから騒がないの」
売り言葉に買い言葉で手が出る様子は無いが、如何せん煩い。
パンパン、と手を叩きティアナが勃発した口喧嘩を仲裁するが、狂犬のように睨み合う二人はすぐさま吠え合いそうだった。
「あーもー……。続けるなら中でやりなさい」
「あ、ちょっ!? 待って、待ってください!?」
「ダーメ。ほら、入るわよ」
アレクはティアナからキーを奪い取ろうとするが、またしてもナ
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