自称王と他称王
二話
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中みたい」
「そっか……」
ノーヴェとアインハルトも加わりさらに待つこと三十分、漸くアレクの姿が見えた。
ただ、行った時は手ぶらだった筈なのに、ビニール袋を下げているのは何故か。
「……何それ」
「オッちゃんに貰ったお土産の饅頭です」
そう言いアレクはティアナ、スバル、ノーヴェに二つずつ手渡し、アインハルトには袋ごと放った。中はちゃんと二つあった。
自分の分は無いのか? そんな疑問がティアナに浮かぶが、訊かない方が良いような気がした。こんな簡単なことなのに、訊いたら後悔しそうな気がしたのだ、何故か。
だが、突貫レスキュー隊員のスバルは迷わず気付かずに言った。
「アレクの分は?」
「俺の分は茶のついでに食ったんで無いっす」
「え、お茶も飲んでたの?」
「てか茶が先っすね。話して喉が渇いたら茶が欲しいよねってなって、茶を飲んだら茶請けが欲しいよねってなって、饅頭食ったら一番合う茶請けは何だって話になって……たぶん三十分くらい白熱してたような?」
「へぇ〜じゃあやっぱりあの人と仲良いんだ」
「う〜ん、仲良いとは違うような……」
ちょっと待て、何か色々間違ってないか、それは事情聴取だったのか? ティアナは勿論のこと、ノーヴェもアインハルトですらそう思った。
まだ気付かないスバルであるがレスキュー隊員である。手を伸ばすべき所は逃さない。
「でもアレクはずっとお喋りしていただけ? 事情聴取は?」
「しましたよ。このパターンの記入用紙のストックもあったんですぐ終わりましたけど」
だから待て、明らかに間違ってる、つーか記入用紙のストックってなんだ!? 指摘すべき所であるが何処からツッコムべきか、いっその事聞いてないと処理するか判断に迷う。
そこに、思考をシャットアウトさせてくれる呼び出しが鳴った。各自に行った事情聴取に誤差が無いか、その結果を知らせる呼び出しだ。三人はこれ幸いと席を立つ。
「あ、お饅頭美味しいね」
「でしょ?」
背の後ろから未だ話し声が聞こえた。貰った饅頭は美味いらしい。食べ物が美味いのは良い事であり、一時の幸せと言っても良い。
その事を教えてくれたスバルはやっぱりレスキュー隊員だった。もう三人はそれで良しとした。
警防署を出ると、必然的にこの後どうするか、といった流れに。大人組は休暇中なので、行動方針は年少組に沿った形となる。
だが、そこで意見が真っ二つに分かれた。行けるなら登校すると言うアインハルト、もうサボる気満々のアレクだ。
大人組も出頭した後なので休ませたい気持ちもあるが基本真面目である。三人揃ってアインハルトを支持する方向へと傾いて行く。元々、学院領地内のテラスでアインハルトをヴィヴィオに会わせる予定もあったので、遅か
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