異なる物語への介入〜クロスクエスト〜
遭遇1―Encounter1―
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行します」
かちゃり、と音を立てて、鎌が下ろされる、少女が鎌から手を離すと、それはヒカリになって消えていった。SAOではありえないアイテムの消滅である。ハリンはますます絶句してしまう。
くるり、とこちらを振り向いた少女は、先ほどの冷淡な表情はどこから、といえるほど優しい笑みを浮かべていた。
「《双刀》のハリンさんですね。初めまして。グリーア・イクス・アギオンス・オブザーバゼロ……天宮刹那です。刹那、もしくはグリーアとお呼びください」
***
「何が起こってるんだ!?」
アインクラッド第七十五層層主街区にて、アツヤは叫んでいた。異変に気づいてからすでに一時間。しかし、一向に原因が解明される気配はない。
アツヤはアインクラッド七十五層の迷宮区で、《聖騎士》ヒースクリフから依頼されたマッピングを行っていた。そろそろ帰るか、とダンジョンを出て、夕飯の用意を頼む、と、パートナーであるヒメカにメッセージを送信しようとすると……フレンドリストには、一切のプレイヤーネームが存在していなかった。まっさらな状態は、アインクラッド第一層で初めて開いたウィンドウと同じ状態だった。ヒメカだけならまだしも、もうひとりのパートナーであるアヤセや、友人のキリト、アスナらの名前も消えているのはあまりにも不自然だった。
拠点としている七十五層主街区《コリニア》に戻っても、プレイヤー達の陰はない。それどころか、消えるはずのないNPC達すら存在していないではないか。
「くそっ、どうなってるんだ……」
転移門は起動できなかった。試してみたが、転移結晶も効果がない。これでは、他の層がどうなっているのかわからないではないか。
まるで、自分だけが世界に取り残されたようだ――――。そう感じたその時。
街角に、何かが見えた。光だ。そう、あれは――――
「モンスター!?」
モンスターのPop現象だった。出現したのは、黒い人型の何か。今まで見てきたどんなモンスターとも異なる外見であった。さらに最大の問題点は……
「HPバーが、出現しない……?」
SAOのモンスターは、基本的にHPバーが出現する。しかしこのモンスターにはそれがない。それだけではない。SAOに存在するありとあらゆる動的存在にあるはずの、カラーカーソルスラが出現しないのだ。
「本当にモンスターなのかよ」
一応背中の二本の大剣、《性》と《悪我》に手をかけておく。そこでアツヤは、新たな異常に気が付
いた。
―――悪我の声が聞こえない。黒い方の大剣を手にすると、それに宿った意識が語りかけてくることがある。しかし、今はそれが聞こえないのだ。まるで、先ほどの『自分だけが取り残された』が事実であるかのように。
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