異なる物語への介入〜クロスクエスト〜
遭遇1―Encounter1―
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も動きを止めていた。
バグ?システムに重大なバグが出た?否。ありえない。SAOは《カーディナル》という名前のシステムが管理している。このシステムはいわば《自己修復機能》を持っており、あらゆるバグを即座に消すことができる。それに、バグならばプレイヤーがいない説明がつけられない。
「……夢、とか?」
一応頬をつねってみる。が、反応はない。とりあえず夢という線は消してみる。ならば、これは一体どうしたことなのだろうか。とにかく、町の中を歩いて何か情報を探してみよう――――
そう思い立ち、転移門広場から足を踏み出した、その時。
ふと、視界の端に何かが映った気がした。急いでそちらを見る。しかしそこには何もない。
「気のせいかな……」
そして視線を前に戻し……また、何かの気配。もう一度。振り向いたハリンは、一瞬だけ白い何かが横切ったのを見た。《それ》は五十三層の中世ヨーロッパ風の柱の後ろに隠れた。
「!!」
今度こそ見間違いようがない。何かが……恐らくはプレイヤーがいるのだ。
「(よかった、何が起こっているのか聞けるかもしれない……)」
ハリンがそちらに向かって一歩踏み出した、その時――――
ギュァッ!!と音を立てて、《それ》が高速で踏み込んできた。ぎらり、と何かが光る。直感的に反応。あれは、刃物の光―――――!!
「――――ッ!!」
とっさに背中の二刀を抜き放ち、迎撃。ガキィン!!という音を立て、《それ》が止まる。そして、遂にその姿をさらした《それ》を見て、ハリンは息をのんだ。
ハリンを攻撃したのは、巨大な鎌だった。SAOの中でも《鎌》スキルは言ってみればキワモノ扱いだ。攻撃力は高いが、しかし扱いづらい。俗にいう『ロマン武器』の範疇である。そのため、このスキルを使う者は少ない。しかもハリンを攻撃してきた鎌はかなり高位の武器と見える。なぜならば、《魔剣》と呼ばれる超高位のアイテムであるハリンの二刀が、先ほどからみしみしと悲鳴を上げているからだ。
だが、ハリンが驚いたのはそんな少数派な武器にではない。その使い手の方にだった。
途方もなく美しい少女だった。ハリンの攻略パートナーであるオウカや、《血盟騎士団》のアスナも美しい女性だが、彼女はそれとはまさしく異次元の域にある。硝子の様に繊細で、しかしそこにふしぎと儚さはない。磨き上げられた剣の美しさである。純白の髪に、白い肌。強い意志力を秘めたオレンジ色の眼が映える。黒いマフラーが良く似合っていた。
「……君は、誰……?」
ハリンは思わずそう聞いていた。すると鎌使いの白い少女は、ぴくり、と一瞬だけ震え、その後、冷淡な声を発した。
「……対象に敵対行動は無しと判断。これより交渉に移
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