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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十六話 背負うモノと真実
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 夜。

 日は沈み、空に月が浮かぶ頃、士郎は電話とメールで連絡をしていた。

 今後についてとはやて達に魔術の事を話すため、そして自身の事を話すために。

 肝心な士郎自身の状態はというと日光という肉体にかかる負荷がなくなったことで回復速度が上がり、日常の動きには不自然さはほとんどなくなっていた。
 肉体の回復にあわせ、魔力も回復していっている。

 それでも万全ではない士郎を心配し

「使うカップはこれでいいか?」
「ああ、大丈夫だ」
「お菓子の準備できたわよ」

 士郎と共に家に戻ってきたリインフォースとプレシアがお茶とお菓子の準備をし、士郎を座らせていた。

「日常生活に支障が出るレベルじゃないんだが」
「それでも万全ではないだろう」
「家事は私達に任せて可能な限り体を休ませなさい」

 士郎の性格上、ゆっくりと休んで家事を誰かに任せるのは性分ではない。
 だがリインフォースとプレシアの言葉に反論する事も出来ないので、大人しくソファーに体を預ける士郎。

 その時

「来たか」

 屋敷に張られた結界が来客を士郎に告げた。

(人数は十一人か)

 屋根に置いている使い魔の鳥の視覚を使い敷地に入った十一人を姿を確認する。

 なのはとユーノ、フェイト、アルフ、すずか、アリサ、そして、はやてとシグナム達の姿を見据えて玄関の扉を開く。

「リインフォース、なのは達が到着した案内を頼めるか」
「承知した」

 士郎の言葉に頷き、なのは達を出迎えに向かうリインフォース。

 しばらくの後、リインフォースを先頭になのは達が士郎の待つリビングに入って来る。

「いらっしゃい、わざわざ来てもらってすまない」

 入ってきたなのは達を出迎えようと立とうとした士郎だが、お茶を持ってきたプレシアが肩に手を置き、小さく首を横に振ったので座ったまま出迎えた。

(心配性だな。
 いや、母親というのはこういうものか)

 切嗣という父親がおり、姉である虎はいたが母親がいなかった士郎。
 それ故に母親というものがわからずプレシアやリンディとの距離が未だにいまいち掴みきれていない。

「士郎君が万全じゃないのは知ってるから楽にしてていいよ」

 そして、なのはの言葉に全員が頷いた事もあり、体をソファーに預け直す。

 そんな士郎の様子を見ながら用意されたソファーに座る面々。
 その時、フェイトが首を傾げる。

「士郎、クロノ達以外にも来るの?」

 フェイトの視線の先には空白のソファー。
 およそ八人分のスペースがある。

 お茶を並べているリインフォースとプレシア、そしてここに来るであろうクロノとリンディ。
 それでも四人分あまる計算だ。


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