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戦国異伝
第百五十五話 加賀入りその十四
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 闇の服の者達はいなかった、ただ一人も。立っているのは織田家の軍勢だけだった。
 織田軍は勝った、信長はその戦場を見て皆に言った。
「皆ご苦労であった」
「我等は勝ちましたな」
「何とか」
「うむ、勝った」
 それは間違いないとだ、信長は己が率いる将兵達に告げる。
「間違いなくな、ではじゃ」
「尾山御坊ですか」
「あちらに向かいますか」
「いや、まずは飯を食え」
 それだというのだ。
「飯を食いそしてじゃ」
「それからですな」
「進むのですな」
「休め」
 そうせよというのだ。
「飯をたらふく食ったうえでな」
「それからですか」
「休めよ」
「寝るのじゃ、昨日一日戦ったからのう」
 それが信長が今彼等に言うことだった。
「よいな」
「しかしまだ門徒達はまだいますが」
「二十万も」
「よいのじゃ」
 それでもだというのだ。
「今は休むのじゃ、疲れておろう」
「今までの戦で」
「だからこそ」
「そうじゃ、よいな」
 信長はこう言って皆にたらふく飯を食わせた、そのうえで今はゆっくりと休ませるのだった。一日で二十七万の大軍を破り今はそうさせるのだった。


第百五十五話   完


                    2013・10・6
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