第百五十五話 加賀入りその十三
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「順調に」
「左様か、ではじゃ」
「さらにですな」
「そうじゃ、攻めよ」
こう言うのだった。
「今はな」
「それでは」
「この者達を倒せば大きい」
それ故にだというのだ。
「ここは一気に倒してしまうのじゃ」
「二十七万の大軍を一日で、ですな」
「そうすれば他の門徒達も大人しくなる」
それでだというのだ。
「ここはそうするぞ」
「では朝までに」
「倒すのじゃ」
今戦っている敵の全てをだというのだ。
「だからさらにじゃ」
「勢いを強め」
「攻めよ」
信長はまた言った。
「さらにな」
「わかりました」
「しかしのう」
ここでだ、信長はこうも言った。
「思ったよりもな」
「といいますと」
「多いのう」
門徒の数がだというのだ。
「ここまで多いか」
「何十万とおるそうですし」
「それは灰色の者達であろう」
本来の門徒達だというのだ。
「そうじゃな」
「あの者達も確かに」
「おるな」
「はい」
柴田もそのことは知っている、それで信長に答えたのである。
「確かに」
「あの者達で数十万、しかし今日相手にしている門徒達は二十七万じゃ」
「ううむ、そう考えますと」
「加賀はそれだけ人が多いか」
信長が今言うのはこのことだ。
「御主はどう思う」
「加賀もそれなりの国です、しかし」
それでもだとだ、柴田はすぐに答えた。
「幾ら何でも。門徒達だけで何十万とは」
「灰色の服や旗の門徒達は二十万と聞く」
「そしてここで二十七万ですな」
「やはり多いな」
「あまりにも」
「宗滴殿は三十万の一向宗と戦われた」
信長は今も宗滴への敬意を忘れてはいない、己を認めてくれ正面から戦ってくれた人物として今もそれを持っているのだ。
そしてだ、その宗滴のことも言うのだ。
「越前と加賀の門徒達とな」
「それで三十万ですな」
「しかしじゃ」
それでもだというのだ。
「四十七万、多過ぎるであろう」
「確かに」
「尾山御坊に二十万、おそらくこれが加賀の門徒の殆どじゃ」
越前は十万、それで計算がつく。だが。
「この二十七万は何者であろうのう」
「数が合わないにしましても」
「二十七万も合わないということがあるか」
「いえ、とても」
「そうじゃな、有り得ぬのじゃ」
こう話してだ、そしてだった。
信長はその闇の服、夜の中に隠れてしまいそうな色のない服の彼等と戦いながらそのうえで言うのだった。
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