第二話 目覚める炎その二
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「自衛官にはならなかったのね」
「何か目が悪かったらしくて」
「それでなの」
「ああ、自衛官じゃなくて先生になったんだよ」
「それでその院長先生になのね」
「随分可愛がってもらったよ」
昔を懐かしむ目になってだ、薊は裕香に話すのだった。
「色々とさ。食うことだって困ったことはないしな」
「それはよかったわね」
「いつも綺麗な場所で気持ちよく過ごせたよ」
「本当にいい孤児院だったのね」
「あたしにとっては最高の家だったよ」
そこまでのものだったとだ、薊は裕香に話す。そうした話をしてだった。
薊は裕香に言われて今はだった、結局屋上には行かずに。
クラスに留まった、そしてそこでクラスの中で寮にいる面々と共に弁当を食べた、しかし問題はまだあった。
皆薊が食べる弁当を見てだ、引いた苦笑いになって言うのだった。
「いや、薊ちゃんちょっと」
「それはないんじゃないの?」
「確かに身体動かしてるけれど」
「幾ら何でもね」
「それは」
「あれっ、何かあっか?」
箸で勢いよく食べながらだ、薊はその彼女達に言葉を返した。弁当は御飯にハンバーグとほうれん草や人参の浸し、プチトマトといったものだ。野菜の量が多い。デザートはオレンジが二個だ。既に半分に切られていて水筒には緑茶がある。寮生はそれぞれの弁当箱に昨日の夕食の残り、朝のことも考えて大量に作ってあるそれを入れるのだ。
当然薊もだ、自分で入れたそれを食べているが寮生達は言うのだった。
「皆と同じだろ」
「いや、量がよ」
「それがね」
「そのお弁当でしかも二つって」
まず弁当箱だった、赤いプラスチックのそれは。
普通の、皆の弁当箱の優 に二倍はあった、しかもそれが二つだ。皆が言うのはその量のことだったのだ。
「ちょっとね」
「食べ過ぎじゃないの?」
「幾ら何でもね」
「それは」
「いや、食わないとさ」
どうかとだ、薊は今も食べながら言うのだった。
「もたないから」
「身体を動かすからなの」
「それでなの」
「そうなんだよ、そのせいかさ」
薊はさらに言う。
「幾ら食ってもさ、あたしはさ」
「太らないの?」
「そうなの?」
「そうなんだよ、本当に何をどれだけ食ってもさ」
「太らないのね」
「身体動かしてるから」
「そうなんだよ、逆にさ」
どうかというのだ、薊にとっては。
「ちょっと食う量が減ったらさ」
「動けなくなるとか?」
「そうなるとか?」
「そうなんだよ、実はさ」
こう言うのだった。
「あたしの場合は」
「ううん、そうなのね」
「沢山食べないと駄目なのね」
「それも朝昼晩とさ」
三食だった。
「食わないと駄目なんだよ」
「そういえば昨日の晩もね」
「そうだったわね、薊ちゃん食べてたわ
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