第二章
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躍を許したとしてだ。狙われる方にとってはたまったものではないが狙う方にとっては格好の攻撃目標である。しかしであった。
「そしてまた多くの市民が犠牲になる」
署長が最も言いたいのはこのことだった。
「またな」
「大義によりですか」
アンボンの言葉はここではかなりシニカルなものになった。これは彼がマナドと一緒に観ていたテレビでのテロリストの声明を受けての言葉である。
「また多くの罪のない市民が」
「大義の前の些細な犠牲らしいな」
署長もまたあえてシニカルに述べた。
「それはな」
「つまり連中にとっては市民の命なぞどうでもいいということなのですね」
「はっきり言ってしまえばそうだ」
署長は今度はマナドの問いに答えた。
「そんなものより彼等の大義だ」
「面白い話ですな」
マナドもまたシニカルになっていた。だがそのシニカルはアンボンや署長のそれと同じくテロリストに対する嫌悪と憎悪に満ちたものであった。
「それ程市民のことを顧みない連中が政権に就けばどういった政府になるか。見ものです」
「テロリストは政権に就けはしないさ」
署長は吐き捨てるようにして述べた。
「決してな」
「決してですか」
「何故ならここに君達がいるからだ」
ここで署長はあらためて二人を見た。
「君達がな」
「我々がですか」
「そう。何故君達をここに呼んだか」
二人を見ながら言葉を続ける。
「それはな」
「そのテロを防げと仰るのですね」
「それだけではない」
二人の問いにも答えたのだった。
「彼等は既にこの島に潜伏している」
「既にですか」
「一人残らず逮捕してくれ」
言葉は厳格極まるものになっていた。
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