第二話
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ゆっくり左目を開く。
開いた俺の左目はちゃんと景色を写している事に俺は心底安堵した。
「どうだ?見えるか?」
そう言いながら確かめようと近づいてくるドクター。
「はい」
「そうか。…しかしこれはどういったことだ?眼の色は愚か眼球の模様まで消えているが?」
「え?」
その言葉と同時にドクターから差し出された手鏡を受け取り俺は自分の左目を確認する。
するとそこにあったのは日本人として見慣れた黒い瞳だった。
碧眼である俺の右目と日本人特有の黒い左目。
オッドアイとはいえるかも知れないけれど少し不恰好だ。
移植前の写輪眼が勾玉模様と真っ赤な虹彩をしていた所と比べればその違いははっきりわかる。
どういう訳か移植したことで待機状態に移行したようだ。
「それで?それは大丈夫なのかね?」
ドクターが俺に確認してくる。
「あ、はい。恐らく待機状態になっただけだと思いますから」
「ふむ。そうか、では発動は出来るのかね?」
そう言われて俺は実際どうなんだろう?と思っていた。
まあ、とりあえずどうやって発動すれば解らないので取り合えず叫んでみた。
「写輪眼!」
「…………」
「…………」
沈黙が痛い。
何の反応も示さないドクター。
俺は恐る恐る手鏡を覗いてみた。
するとそこには叫ぶ前と何一つ変わらない黒い瞳。
………失敗したらしい。
まてまて、今のは恐らくやり方を間違えただけだ。
叫ぶだけで発動できるわけ無いよね。
て事は発動するのに必要なプロセス、またはエネルギーが要る訳で。
俺は魔法を発動させる時に杖に送る精神力の要領で、瞳に精神力を流し込むイメージを構築する。
そして。
「写輪眼!」
すると今度は瞳が赤く染まり、勾玉模様が2つ浮かび上がった。
「おお!」
成功した事に感嘆の声を上げるドクター。
しかし俺はそれどころではない。
どんどん精神力が削られていっているのだ。
堪らなくなり、俺は精神力の供給をカットする。
「ぜはーっぜはーっ」
肩で息をする俺。
「どうかしたかね?」
「あの、これは物凄く精神力を消費するようです」
「なるほど、強大な力には其れなりの代償が必要と言う事か」
と、一人納得しているドクターを横目に俺は再度意識を手放した。
しばらくして俺が気を取り直すと、既に夕方になっていた。
「起きたか」
「あの?」
俺はどうして寝ていたのかをドクターに問うた。
「ああ、精神力の使いすぎで気絶したのだよ。全く、これからと言う時に気絶してしまって、しかももう夕方だ。帰らねば親御さん
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