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ヘタリア大帝国
TURN136 帰還その十一

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「議会の説得は」
「難しいですね」
「それもかなりな」
「貴族院を説得出来なければ講和は出来ないと見受けますが」
「その祭は非常大権を発動してでも」
 セーラは毅然として伝家の宝刀を口にした。
「講和を成し遂げてみせます」
「非常大権ですか」
「はい、エイリス王室の」
 まさにそれをだというのだ。
「発動させて」
「そしてですか」
「講和条約を結びます、この戦争を終わらせます」
「安心してくれ、女王さんの身の安全は俺が守るからな」
 イギリスは自分の右手の親指で他ならぬ自分自身を指差した、そのうえでセーラを見つつ宣言したのである。
「あいつ等には指一本触れさせないからな」
「お願いします」 
 ネルソンは切実な顔でイギリスに頼み込んだ。
「出来れば私も」
「あんたは講和してからだ」
 その時にだとだ、イギリスはそのネルソンに微笑んで答えた。
「それにマリーさんとモンゴメリーさんもな」
「僕達もだね」
「講和の後で」
「戻って来てくれるよな」
「うん、祖国さんが言ってくれるなら」
「是非共」
「エイリスはこれからが大変だからな」
 講和し戦争を終えてからだというのだ。
「その時にな」
「講和会議はロンドンで」
 セーラはその場所も指定した。
「お待ちしています」
「わかりました、それでは」
 パリには帝も来ている、国家元首としてセーラと対する為に来たのだ。 
 その帝もだ、セーラに毅然として答えたのである。
「期待しています」
「戦争を終わらせる為に」
 こう話してそしてだった。
 セーラはイギリス、そして二隻の戦艦の将兵達と共にロンドンに戻った。マリーは銀河の遠くに消えていく二隻の戦艦を見送ってから難しい顔で呟いた。
「大丈夫だよね」
「ご安心下さい、祖国殿がおられます」
「あの方がセーラ様をお護りします」
 そのマリーにネルソンとモンゴメリーが慰めの言葉をかける。
「ですからお気に病まれることはありません」
「例え議会がどう言おうとも」
「そうね、それじゃあね」
 マリーも二人の言葉を受けて心を落ち着かせた、そしてだった。
 今は吉報を待つことにした、戦争も最後の局面に達しており後はどう矛を収めるか、そうした段階になっていた。


TURN136   完


                         2013・9・10
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