第一章
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第一章
大義
彼等は言うのだった。これは聖戦だと。
「我々は必ず勝つ!」
覆面をした男がテレビの画面で叫んでいた。
「これは聖戦なのだ!今の悪辣な政府を倒し我等の理想を実現させる為の!」
こう叫んでいる。
「その為に我々は今回の行動に移ったのだ!これは政府に対する正義の鉄槌である!」
「ふざけるな」
叫び続けるその覆面の男を見て忌々しげに言う者がいた。
「何が大義だ、偉そうなことを言うな」
「全くだな」
その言葉にすぐに頷く者がいた。
「大義大義と言うがやっていることは」
「テロだ」
また彼は忌々しげに吐き捨てた。
「テロリストだ、あいつ等は」
「今度の爆弾テロでも十人死んだ」
「十人か」
「親子一緒に死んだ家族もいたしまだ幼い子供もいた」
「くっ・・・・・・」
家族一緒や幼い子供と聞いて彼は声を歪めさせた。
「またか。小さい子供までもか」
「そうだ。またな」
見れば赤い肌に皺が刻み込まれた初老の男が話している。もう一人も初老でこちらは短い髪がもう白くなってしまっている。二人共机が並ぶ簡素で味気ない部屋に半袖のシャツで立ってテレビを観ている。
「死んださ。五歳だった」
「俺の一番下の子と同じ歳だ」
「ああ、シンディーちゃんか」
「そうさ、あいつももう五歳になった」
白い髪のその忌々しげな言葉を続ける男が述べた。
「早いものさ。かみさんもかなり可愛がってるよ」
「それはいいことだな」
「その五歳の子が死んだか」
「残ったのは右腕一本だけだ」
皺の男はまた言った。
「その手に握っていたおもちゃで母親がわかったんだ。母親はその場で泣き崩れたって話だ」
「惨いな」
「その惨いことをやったのがあの連中ってわけだ」
「大義だ!」
覆面の男はまだ叫んでいた。
「これは大義だ!政府との戦いにおける大義なのだ!」
「おい、もうテレビを切っていいか」
「ああ」
皺の男は白髪の男の言葉に対して頷いた。
「いいぜ。聞いていて不愉快になるばかりだしな」
「そうだな。何が大義だ」
白髪の男は忌々しげに言いながらテレビのスイッチを押した。これでテレビは消え画面は真っ暗になり言葉を発することもなくなった。二人はそのうえでまた言葉を交えさせるのだった。
「それでだ。その子や家族を入れて十人か」
「負傷者はその五倍以上だ」
「また随分と派手なことになってるな」
「何せ映画館でのテロさ。そこまでなるさ」
「映画館か」
「人のいる場所で仕掛ける」
皺の男はここでは表情を消して述べた。
「それがテロじゃないのか?」
「そうだな」
白髪の男もその話に頷いた。
「その通りさ。テロは人の少ない場所で何かやっても意味がな
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