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オリジナル
第七章

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第七章

「オリジナルの曲!?」
「このバンドがオリジナルの曲なんて」
「これまでなかったよね」
「ああ、なかったよ」
「けれど」
 それでもだと。彼等は口々に言うのだった。
「よくない?」
「いや、いいよ」
「はじめて聴く曲だけれど」
「この曲って」
「いい曲よ」
 その曲にだ。彼等は賞賛の言葉をあげていた。
 そうして聴くとだった。余計にだった。
「何かこのバンドって」
「コピーバンドと思ってたけれど」
「センスはいいけれど独創性がないって」
「違ったんだな」
「そうよね」
 彼等はだ。こう言っていくのだった。
「いいバンドじゃない?」
「そうだよね」
「思っていた以上に」
「この曲だって」
 そのオリジナルの曲はだ。好評だった。そして最後まで終わるとだった。
「いいよいいよ!」
「いい感じ!」
「オリジナルもいいじゃないか!」
「いけるよあんた達!」
 ありのままの感想を彼等に告げる。するとだった。
 彼等もだ。満面の笑顔で言い合うのだった。
「なあ、俺達ってな」
「だよな。オリジナルでもな」
「いけるんだな」
「っていうかオリジナルの方がな」
「いい感じだよな」
 こうだ。言い合うのだった。
「じゃあこれからもな」
「オリジナルでいくか」
「そうだな。それでな」
「いこうぜ」
 こうしてだった。彼等はこれからの自分達の音楽を決めたのだった。
 彼等は後にフィリピンを代表するバンドになる。そうなるにはこうした経緯があった。アメリカから世界に、そして祖国からオリジナルに。彼等の音楽が辿った道が彼等を形作ったのである。


オリジナル   完


                 2011・1・4

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