破邪顕正
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と様々な特訓を積んでるの。これくらい何てことないわ』
『バケモンだ』
『何ですって?』
声に苛立ちが混じったのにナツは気づいた。
これは最近の会話。確かマグノリアの街を走るティアを見つけ、声を掛け試しにランニングについて行ったのだ。
その結果マグノリアをぐるぐると何十周もする事になった、という訳で。
『ていうか、アンタ男でしょ?女の私が息1つ切らしてないのにアンタが息切らしてるってどうよ』
『うっせー・・・つか、息切らすのと性別は関係ねーだろ』
『あら、アンタから正論が聞ける日が来るなんてね』
呆れたようにティアが呟く。
黙っていれば美人なのだが口を開けば台無しになってしまうティアはナツに目を向け、もごもごと口を開いた。
『・・・ま、アンタの事くらいは私がどうにかしてあげる』
『は?』
『アンタの事だし、他人の為に突っ走る時が絶対にある。だけどアンタには倒せる敵が多いのと同じように倒せない敵が多い。その時は私がどうにかしてあげるわ』
『お前の力は借りねえよ、オレ1人で十分だ!』
『何言ってるのアンタは。実力的には私の方が上よ?それに、アンタだって知ってるでしょ?私とアンタが組めば、結果は100%プラスに繋がるって』
『・・・』
ムカつくほどの正論にナツは何も言わない。
が、しばらく沈黙したかと思えば、すぐに口を開いた。
『どうにかしなくていい』
『随分な強がりね。言っておくけど私は・・・』
『代わりに、お前はオレが助けてやんよ』
ピタリ、と。
ティアの言葉が遮られ、止まった。
数回瞬きし、まじまじとナツを見つめる。
『アンタ何言ってるの?何で私が自分より弱い人間に助けられないといけないのよ』
『弱くねぇ!つか、弱くても強くても助けたっていいだろ!仲間を助けんのは当然じゃねーか!』
『・・・仲間、ねぇ』
髪をくるくると指に巻き付けながら、ティアは興味なさげに呟く。
『ま、いいわ』
『?』
トン、と軽い足取りで座っていた場所から降り立つ。
ティアの言葉に首を傾げるナツをその場に残し、ティアは足を進め――――
『あ』
足を止めた。
くるりと振り返り、ビシッと指を指す。
『言い忘れてたから今言うわ。聞き逃すんじゃないわよ!』
『は?』
とりあえず聞き逃すなと言うので集中する。
ティアはただ、鋭く言い放った。
『私とアンタは基本的に同じ戦場で戦ってる。同じ道を歩んでいる事を忘れないで』
―――――そう。
この空間の外にはアイツがいる。
他人の事には興味がないと言いながら、結果として誰かの為に戦った事になるアイツが。
ここで諦めれば、きっとこう言うだろう。
「諦め悪いのが
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