破邪顕正
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の炎を纏って突進する魔法であり、相手に近づかなければならない。
が、それとは対照的にグランドクロスは遠距離からでも攻撃出来る。
その為ナツが攻撃を受けてしまった。
(マズイ・・・!グランドクロスで両手が塞がってる!ブレスを放つ余裕もない!最善の方法はアイツを見捨てる事だけど・・・)
ガブガブと無の旅人に体中を噛みつかれて、今にもその姿が見えなくなりそうなナツに目を向けながら、ティアは珍しく焦っていた。
(利用出来るものは何だって利用する。ゼロを倒す為なら、多少似合わなくてもアイツを助けるしかなさそうね。ただ・・・どうやって?)
助ける方法がない。
そして、ナツを助ける理由も、ティアの中にはない。
無慈悲だと、冷酷だと罵られてもどうしようもない。無いものは無いのだ。
「・・・っ!」
気づいた時には遅かった。
ティアが必死に頭を回転させている間に。
――――――ナツは、“無”へと呑み込まれていた。
―何だ・・・くそ、何も見えねぇ・・・力も出ねぇ・・・ち、ちくしょう・・・―
灰色に色付いた無の空間。
そこには何もなく、ただただ無が広がっていた。
その中に囚われたナツには何も見えず力も出ない。
滅多に諦めないナツが諦めかけた、その時―――――――
『ナツ!どうした?これしきの事で倒れるのか?』
声が響いた。
大地を震わせるような低い声。
その声を、ナツは知っていた。
7年前を最後に聞く事が出来なくなった、大好きな育ての親の声。
『ナツ、それでもイグニールの子か?』
『いや、でもあんなデカい山、どうやってぶっ壊すんだよ!』
聞こえる声に、幼いナツの声が混じる。
ナツにはこの会話に覚えがあった。
『気持ちから負けてどうする。お前が自分の力を信じずにどうする。ナツ、お前は滅竜魔導士だ。その誇りを忘れるな!』
力強い言葉が、枷を外す。
ナツを無の空間へと留める枷を、1つ1つ壊していく。
『お前にはこのイグニールが・・・この私がついている!』
『お、おう!でも・・・さっぱり意味わかんねぇ・・・』
この頃は解らなかった。
だが、今ならその言葉の意味が解る。
ナツは力強い笑みを取り戻した。
すると―――――――――
『何よ、この程度で困憊するの?』
別の声が響いた。
軽やかにステップを踏む様なソプラノボイス。
聞き覚えのある、どころではない。
ほぼ毎日聞こえている声が、無の空間を駆ける。
『この程度って・・・こんだけ走って息切らしてねぇお前の方がおかしいだろ!』
『バカね。私は毎日走り込みに腹筋背筋、魔力向上に知識向上
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