第一物語・後半-日来独立編-
第六十八章 強くあるために《4》
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しく表示されている映画面を割った。
と、同時に爆発音が響いた。
鳴った方向へ振り向くと、見えたものは竜神の竜口砲|《ドラゴンブレス》によって艦の半分を持っていかれ、煙を上げていた戦闘艦だ。
前の放射状のものではなく球状の竜口砲。
竜神の方にも無理は来ているのだろう。当たり前だ。宿り主の具合が元々良くなかったのだから。
こちらにしてみれば運がいい。
「後で王政を殴っていいから今は行くぞ」
「いいんですか!」
悔しく拳を握っていた清継が、目を輝かせてこちらを見た。
「拙者が許す。準備は必要か」
「特に必要ありません」
「よし。味方も必死になって砲撃を行っている。巻き込まれないように、竜神の視覚、目を潰しに行く」
「了解!」
繁真は腰に携えた鞘から刀を、清継は拡張空間と表示されている映画面に手を突っ込んで、左右から二本の槍を取り出した。
刃に映るのは側にいる者。
二人は頷きを一つ入れ、同じタイミングでその場を後にした。
砲撃が打ち付けられている竜神の元へと、迷い無く向かっていった。
●
事態を理解出来ていない者達は、理解を求めて誰彼構わず疑問を投げ掛けた。
黄森の者達のなかであっても同じであり、充分な説明がなされていないのは明らかである。
皆の緊張の糸が複雑に絡み合い、思考で物事を考えられなくなっていた。
「どうなってんだ。俺達は宇天の長救いに行ったのに、なんで今度は竜神と黄森が戦ってるんだ」
「そんなこと言ってもこの場にいる誰もが知らないわよ」
「くそっ! 訳わかんねえ」
などと日来の学勢達も荒れていた。
慣れない戦場の変化に苛立ち、何をすればいいのか迷っている。
それを見ていたレヴォルフは先導を行くように、
「静かにしろおおお――!」
咆哮の如く言葉を放った。
急な大声に皆はまるで目が覚めたように、静まり返り冷静さを取り戻した。
今後は実戦のことについて、詳しく学ぶ必要があると思いながら、この場にいる日来の学勢をまとめ上げる。
「黄森が相手にしているのは竜神、俺達ではない。事態が変化し、目標が変わったと捉えるべきだ。俺達の目的は宇天長の救出。それがなされた今、現状はその場での待機だ。
いいか、この状況下では俺達の入る隙間は無い。冷静に戦いの流れを見極め、今後に活かせるようにしておけ!」
レヴォルフ自身も事態を把握仕切れていない。
黄森の目標が宇天の長から竜神に変わったことしか理解出来ず、何故竜神を狙うのかは理解出来無かった。
覇王会の誰かに説明を求めた方がいいが、長であるセーランは無しだ。
彼方は彼方でことを進めている。邪魔をするわけにはいかない。
残るは戦場にいる覇王会隊長であるネフィアか、日来にいるであろう覇王会指揮官、伝達者
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