第四章
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第四章
「よくないか?」
「っていうか今までで一番いいよな」
「ああ、いいよ」
「馴染むよ」
「俺達に合ってる」
「確かにな」
このことを言い合いだった。
「じゃあ俺達ってな」
「フィリピンの音楽もな」
「いけるか?」
「他の国の音楽だけじゃなくて」
既に彼等はアメリカだけではなくなっていた。ごく自然にだ。それも自分達ではそうしたことに気付いていない。それで言ったのである。
「まあ考えてみればな」
「そうだな」
「俺達って結局はな」
「あれだしな」
そして五人でまた言い合うのだった。
「この国に生まれ育ってるしな」
「フィリピンにな」
「それだとそれも」
「自然か」
「そうなるか」
こう言い合って頷き合ってだった。そうして。
五人はだ。フィリピンの音楽も演奏し店に置いた。するとだ。
「ああ、我が国の音楽も入れたんだ」
「他の国の音楽だけじゃなくて」
「フィリピンのもだね」
「ああ、そうだよ」
今日はカウンターにはパンチパーマがいた。彼は笑顔で客達に答える。その服はフィリピンのものだった。かつてのアメリカのものではなかった。
それでだ。彼はカウンターから応えて話した。
「我が国のも置いたからな」
「いいねえ、アメリカンコーナーはそのままの広さで」
「二階三階の自分達の練習場を削ってそこを広げて」
「そこに置くんだからね」
「練習は何処でもできるからな」
パンチは笑ってそれはいいとした。
「だからいいんだよ」
「成程、それでかい」
「それでなんだね」
「ああ、そうだよ」
まさにそうだというのである。
「それじゃあな」
「それじゃあ?」
「それじゃあっていうと?」
「フィリピンコーナーは三階だよ」
「で、一階がこれまで通りアメリカンで」
「二階が他の国で」
「三階なんだ」
客達もパンチの話を聞いて店のことを理解していく。今の店の品物の配置はそうなっているのである。それが今のこの店なのである。
「そうなってるんだ」
「つまりは」
「そうだよ。それで俺達の練習はな」
パンチは今度は自分達の話をした。
「この建物じゃもうしないからな」
「じゃあ何処なんだ?」
「それじゃあ」
「まずはバーでな」
そのコンサートを開いている場所でだというのだ。
「それと外な」
「路上かよ」
「路上ライブかよ」
「それやってるんだ、今は」
「そうだよ。まあ俺達の音楽も聴いてくれよ」
彼は笑顔で客達に話す。
「そっちも宜しくな」
「ああ、じゃあな」
「そっちも楽しみにしてるよ」
「今度聴かせてもらうぜ」
客達は笑顔でパンチに応えた。そしてだった。
リーゼントがだ。マネージャーに話していた。
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