第一話 【ゼロ魔編】
[1/9]
前書き [1]次 最後 [2]次話
目が覚めると、俺は知らないところに寝かされていた。
見覚えのない場所だったので俺は立ち上がり、周囲を確認しようとして体が上手く動かない事に気が付いた。
立ち上がれないだけではない、首すら自分の意思では傾ける事が出来ない。
なんだ?
俺はもしかして全身麻痺の植物人間にでも成ってしまったのか?
俺はかなり焦って叫び声を上げようとした所で俺の視界の中に、見も知らない人間が現れた。
『アオちゃん。ご飯の時間ですよ』
恐らく俺に話しかけたのだろう。
視界に現れた女性が全くわからない言葉を紡いで俺を軽々抱き上げた。
ん?抱き上げた。
そしておもむろにたくし上げてあらわになった乳房に向けて俺の顔を近づけた。
なんだ?
赤ちゃんプレイ?
「ぁーっ」
ちょっと待って!と思って声を上げようとしたけれど、どうにも上手く喋れない。
『はい、アオちゃん。おっぱいですよ』
しかし女性はお構いなしとばかりに戸惑う俺の体を揺すり、おっぱいにしゃぶりつけと催促する。
此処まで来て漸く俺は思い至った。
これはもしや!オタクにのみ許された二次転生テンプレと言う奴では?
◇
俺の名前は神咲蒼(かみさきあお)。
名前だけはかっこいいが悲しいかな、見目普通の両親の遺伝子を受け継いで、不細工ではないけれど、カッコイイとはいえない容姿の普通の日本人だ。
思えば女性に全く縁の無い人生だった。
中学二年の時に友達からアニメやライトノベルを進められたのが切欠で俺はそれらの多くの作品にどっぷりはまってしまった。
気づいた時にはオタクといわれる人種になっていた。
そしてそのまま成人して、中小企業に就職。
出勤し、仕事をして、締め切りに追われながら徹夜して、帰ってきては取り溜めたアニメを見たり、ライトノベルや漫画、時折ネットで二次小説などを読みふけり、就寝。
そんな毎日だ。
そんな生活だから当然彼女なんか居た事も無く、気が付いたら童貞のまま30歳の誕生日を迎えようとしていた。
「はは、このままじゃ魔法使いになってしまうかな…」
明日は30歳の誕生日だなと思いながら酒を煽って就寝したはずだった。
しかし今、俺はどう言う訳か記憶を持ったまま赤ちゃんになると言う二次創作におけるテンプレを目の当たりにしている。
だが、普通こういう場合の多くは道路に飛び出した可愛い女の子を救って変わりにトラックに轢かれたりして、神様が「ゴメン、間違えて殺してしまったから幾つか能力付加して転生させてあげるね。勿論移動先は選ばせてあげる」とかではないのか?
俺にはそう言ったやり取りをした記憶が全然ないのだが…
くっ、俺は最強オリ主では無い
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ