『第三十五話』〜夕方の買い物〜
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彼は私のクラスメイトと名乗ったが、少なくとも私は彼みたいなクラスメイトは知らない。
誰か聞こうとしたが、彼はそれを遮って口を私の耳元に寄せて囁いた。
「美由紀さん。俺ですよ俺、拓斗です」ボソボソ
「え? 拓斗君?」
いや、どう見たって違うでしょ。
年齢が違うじゃない。
拓斗君はなのはの同級生だよ? 明らかに私と同い年くらいだよね?
そう考えてると拓斗君(?)は続けて呟いた。
「恭也さんから聞いてませんか? 魔法で姿変えてるんですよ」ボソボソ
それを聞いて思い出すのは依然した恭ちゃんとの会話。
『じゃあ、恭ちゃんは拓斗君が死神だって完全に信じるの?』
『あぁ、拓斗は俺と忍の目の前で魔法を見せた。普通じゃ考えられない現象を起こしたんだ。信じるしかないだろう』
『魔法って、あの魔法?』
『お前が考えているので間違いないだろうな。気になるんだったら今度見せてもらうといい』
『分かった。今度頼んでみよっと』
すっかり忘れてた。恭ちゃんが言ってたこと本当だったんだ。
「そっか、魔法ってそんな事も出来るんだね。びっくりしちゃったよ」ボソボソ
「出来れば今から俺の話に合わせてください。そのまま抜け出します」ボソボソ
「うん、わかった」ボソボソ
そう小さな声で話し合いを終えて拓斗君は離れる。
「それじゃ! 早く戻ろうか。桃子さんも心配してるだろうし」
「そうだね! 早く戻って手伝いしないと」
「ちょっと待ちやがれ!」
ちょっと無理やりな会話でここから抜け出そうとする私達を不良の一人が叫んでとめる声に拓斗君が振り返る。
「なんだ?」
「いきなり出てきて勝手にその上ちゃん連れてくんじゃねぇ!」
「いや、俺ら急がないといけないんだ。アンタ等に構ってるほど暇じゃないんだよね」
「うるせぇんだよクソ餓鬼が!!」
不良の一人が殴りかかってくる。
が…
「せめて相手との力量差を見極めてからかかって来いよ…」
拓斗君は其れを簡単に投げた。
しかも殆ど手を触れずに、殴りかかってきた相手の勢いだけで。
「おぉ…意外と吹っ飛んだな。結構手加減はしたんだが……」
投げられた不良は、ゴミ置き場に一直線。
尤も、ゴミ袋などがクッションになって大怪我はしてないみたいだけど。
「こ、この野郎何しやがる!?」
「何するって……アイツが最初に殴りかかってきたんだ、正当防衛だろ」
「何が正当防衛だ! このクソ餓鬼が!!」
「はぁ……強がってんじゃねぇぞ、この青二才が
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