『第三十五話』〜夕方の買い物〜
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「そうだな。ソウルの言うとおりにした方がいいか」
そう呟くと共に俺を光が包み込む。
「……うん。こんなもんでいいか」
光が鎮まると俺の視線が高くなっていたので鏡を見て自分の姿を確認する。
黒眼黒髪なのは変わらない。だが
「我ながら、えらく中性的な容姿だな……」
姿が中性的なのだ。
顔は女だと言えば普通に信じてしまうくらい女みたいな顔つきをしていている。
体も男性みたいにがっしりしていない、むしろ女性みたいに華奢な体つきだ。
せめてもの救いは顔が男だと言えば男にも見えるような感じだということと、体つきも華奢といっても本当の女性ほどほっそりしていないこと、あと前髪が目のあたりを見えにくくしているということか。
[ま、まぁ良いんじゃないか? 完全に女性だと言うわけじゃないんだし。な?]
「…そうだな……あまり気にしてたらだめだな。行くか」
[おう]
今度こそ、俺は玄関に向かった……
「大人になって正解だったな。まだわんさかいたぞアイツ等」
[(な? 俺の言うとおりだったろ?)]
「(あぁ。助かったよ)」
ソウルが言ってくれて本当に良かった。元の姿のままでかけてたら時間が恐ろしくかかっただろう。
「それにしても……多いな」
あちこちから視線を感じる。子どもの姿の時も感じる事はあったが、今はそれ以上の視線が俺に突き刺さっていた。
「しかし……落ち着かないな、早く用事を済ませよう」
俺は足を速めた。が……
「あ〜〜! 私の風船が〜〜〜!?」
「ん?」
その時、後ろから女の子の声がしたので振り返ってみると、空を見上げている少女と、その手から離れて行ったであろう風船が空に向かって浮かび上がっていた。
「あらあら残念ね。また新しいのを貰いに行きましょう」
「やだやだ〜〜! あの風船がいいの〜〜!!」
「困ったわねぇ……」
母親と思わしき女性がが宥めようとしたが、女の子は聞かなかった。
「あれくらいなら大丈夫か?」
助走をつけながら跳躍して風船の紐を掴む。
「よっ…と」
そのまま地面に着地する。
「すご〜〜〜い!!」
女の子がキラキラした目で俺を見つめる。
「はいこれ。もう離すんじゃないぞ」
「ありがと〜〜お兄ちゃん♪」
「あ、ありがとうございます」
「お気になさらずに。それじゃあ失礼します……」
俺はその場を後にした。
「ばいば〜い! お兄ちゃ
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