鬼と龍の兄弟は Y
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「・・・俺たちを、捕らえる?朱糸眼はともかく、俺は無理だよ」
「え〜、僕を捕まえるのも無理だと思うけど?」
青年は起こった素振りも見せずに朱糸眼と呼んだ男の肩を叩く。
「さあ、コレクションの蒐集を始めよう」
綺麗な口の形を歪ませて笑った青年に、ここにきても冷静さを保った龍炎は「2対2だ。丁度いいな」と呟く。
「朱糸眼、こいつら・・・強いよね?」
「強いねぇ。これまで見てきたどんなパラメーターでも計りきれないし・・・なにより、オーラが迸ってる気がしない?」
ふざけた口調ではしゃぐ朱糸眼。しかし、その細い目には一分の隙もない。
「ッはは、強いのはどっちだっつー話」
幽かに諦めの表情を浮かべる鬼炎の頭に、龍炎がチョップを入れる。
「いってぇな、龍。分かってるって」
目を細めた鬼炎は真剣な表情に戻り、相対する敵の二人を見つめた。
「・・・俺ってさ、天才なんだよね」
と呟く青年。
「は?・・・ちょっと待て、何の話だ?」
龍炎が眉をひそめて尋ねる。確かにこの状況で『自分は天才だ』発言は不思議であり、そして不審だろう。
「あ、いや。俺は天才だから、こういうこともできるんだよ――ってことなんだけど」
独り言のようにぶつぶつと返答する青年。
「叶壊、ストップ。ウェイト。僕まで殺す気?」
朱糸眼の声は少し切羽詰っているが、能面のように顔に張り付いた笑顔は消えない。
「朱糸眼がこいつらをコレクションしてくれるなら、殺さないよ?だから、俺を止める方法はこいつらをコレクションする――」
「ストップって、言ったよね。僕のほうが君より上だということを忘れたのかい、叶壊永久」
静かに狂気を浮かべる青年――否、叶壊永久を止めたのは、笑顔のままの朱糸眼。が、その隠れた瞳には、確固たる支配者の気配があった。
「・・・お前らは、何者なんだ・・・?」
龍炎の問いには答えず、いじけた様子で唇を尖らせる叶壊の背中に手を当てた朱糸眼は言葉を紡ぐ。
「今日はここで引いておくよ。けれど、僕たちはまた現れるから。・・・覚えておいてね?僕は朱糸眼、この子は叶壊永久だよ」
その言葉も、やはり笑顔で呟かれて。
暴力的なものではない威圧感と強さを感じ取り、鬼と龍の子孫はその身を震わせた。
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