第二章
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第二章
マスコミも来る。下品そのものの顔で取材しに来るが彼はそれも受けないのだった。
「このザリガニが赤かったら来ないですよね」
「それはね。金色のザリガニなんて珍しいから」
「それだったらいいです。こいつはただ色が違うだけですから」
「だから。金色なんだけれど」
「それだけじゃないですか。他は何の変わりないザリガニですから」
こう言ってである。マスコミの取材も断るのだった。高い金で売って欲しいという話もあったがそれも色が違うだけだと言って断るのだった。
そんな彼だった。どんなザリガニも公平に接して世話をするのだった。そんな彼を見てだ。両親は呆れたものからだ。次第に尊敬を感じてこういう風に言った。
「あれこそ本当にだな」
「ええ。ザリガニ好きよね」
そうだと認めたのである。彼は何時しかザリガニの王とまで呼ばれるようになった。しかし彼はそんなことには構わずにである。やはりザリガニを釣りそうして公平に飼い続けるのだった。それが彼だった。そこにあるのはザリガニに対する愛情のみだった。そして彼もだ。ザリガニ達に囲まれ彼等を公平に愛する、それだけで充分であり満足だったのである。
ザリガニキング 完
2011・4・4
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