第一部 vs.まもの!
第2話 さいしょのなかま!
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か?」
無言。
「それとも聖職者?」
ディアスが急に足を止めた。今の一言で、彼の触れられたくない所に触れた手応えを、ウェルドは得た。
「口を噤め。詮索は無用だ」
ノエルが追いついた。ウェルドは肩を竦める。
三人は並んで歩き出した。
「あんたには馬車の中から目をつけてたんだぜ。大陸の識字率は高くねえ。その中でわざわざ重くてかさばる本を持ち歩いてる変わり者は嫌でも目立つ」
「それがどうした。何を勝手に期待したのか知らんが、俺は戦力以外の要素で貴様の力になるつもりはない」
ディアスが改めて立ち止まる。
「今の内に断っておく。貴様の主義主張に興味はない。貴様の行動や目的に口を挟むつもりも、手を貸すつもりもない。そのつもりでいろ」
「……へいへい」
人選間違ったかなこりゃ……心の中でこぼしながら、高い天井を見上げた。
遠くに火が見えた。
腰の高さの石柱に、炎が宿っている。
ウェルドは『時の行路図』を開き、驚愕に足を止めた。
〈黒の羨道(えんどう)〉
いつの間にか黒いインクで、羊皮紙に書かれていた。
ノエルとディアスも足を止め、ウェルドを振り返る。
何か、湿ったものが蠢くような物音が、行く手から聞こえてきた。
「来やがるぜ」
ウェルドは低く呟く。
打ち解ける気配がない三人の、共闘の始まりだった。
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