第一部 vs.まもの!
第2話 さいしょのなかま!
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同行するノエルは押し黙ったまま、心を開こうとしない。ウェルドはそれについて極力気にせず、気楽な気分で遺跡の入り口へと歩いて行った。
大方、仲間の新入りの顔と名前は把握したつもりだ。歩きながら頭の中で反芻した。
隣にいるノエル。さっき会ったレイア(感じ悪ぃ女!)とエレアノール(美人だったなあ)、自称義賊様のジェシカ。暑苦しい騎士のアーサー。黒衣の女イヴ。弓使いのパスカ。ポニーテールの少女シャルン……何だかワケありっぽかったな……えーっとあと、エプロンの女の子サラ。聖職者のルカ。と、あれ、あと一人、なんかでかくて影薄いの。えーっとあいつ何だっけ……オーラが薄いっつーか存在感無くて思い出せない……まあいいや……。
新人冒険者は自分以外に十三人。顔を合わせていないのはあと二人という事になる。
その内の一人が今まさに、町の片隅に口を開けた遺跡の入り口へと足を踏み入れようとしていた。
「待てよ」
男が足を止めた。
痩せた青年だった。襟足の長い青い髪と、そこから覗く首の、肌の浅黒さが目を引く。濃い青のローブに、端を足許まで垂らした黒い帯。衣服を寒色で纏めているせいで、ますます細く見える。
手には石板を携えていた。彼は少しだけ首を捩り、糸のように細い、鋭い目で、ウェルドを一瞥した。
「あんた、俺たちと同じ新人だろ」
「……」
青年は興味なさそうに、遺跡入口の闇の奥へ歩いて行く。一歩足を踏み入れると、別世界の様な冷気が通路に満ち、進むごとに冷たさは刺すような痛みに変わっていった。
アーチ状の通路に、三人の足音が響く。
「おいおい、無視はねぇんじゃねえの」
青年の背を追いながら、ウェルドはもう一度声をかけた。冷たい声が幾重にも反響しながら帰って来る。
「友達が欲しいなら他を当たれ」
ウェルドは走り出した。隣のノエルがビクッとして一瞬立ち竦む。ウェルドは青年に先回りし、目の前に立った。
「てめえ、俺がお友達探しにカルスの棺桶までのこのこ出かけてきたとでも思ってんのか? 馬鹿にしてもらっちゃ困るな」
酸素を引きこむための孔がそこかしこに開けられており、壁に掲げられた松明には魔法による火が点っている。その陰影の中で、ウェルドは相手を睨みつけた。青年は陰鬱な細い目で、視線の圧力を返してくる。
「……用は何だ」
「俺に力を貸せ」
無言。
ウェルドは待った。
「戦力として、という事か」
「ああ、そうだ」
「ならば行動を共にしてやってもよい」
青年はウェルドを追い抜いて、先に歩いて行った。ウェルドは隣に並ぶ。
「じゃ、名前ぐらい知っといても不便はないだろう。俺はウェルド。あんたは」
「ディアス」
と、素っ気なく答える。
「ふぅん。あんた、ここには何しに来た?」
答えない。
「見たところ学者
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