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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第2話 さいしょのなかま!
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だ」
「仕事って事は、報酬がでると考えていいんだな」
「ああ。十日以内に持ってきたら百二十ガルドで買い取ろう。これは通常の倍の値段だ。悪い話じゃねえだろう?」
「俺は蓄財には興味ないんでね」
 ウェルドは応じた。
「だがそのトカゲの化け物には興味ある。乗るぜ、おっさん」
「話が早いな、助かるぜ。じゃ、遺跡の入り口についてざっと説明させてもらうぜ」
 バルデスは足許に散らばる紙を一枚拾い、ペンを取った。
「まず遺跡の入り口を入ってすぐ、こう、通路状に地下都市の空間がある。この壁を伝って降りていくとすぐ『アスラ・ファエル』の入り口につく」
 古いインクの匂いが辺りに満ち、紙上に遺跡の地図が描き出された。
「あとはこれを持って行け」
 腰の荷袋に手を入れ、バルデスはウェルドに、ついでノエルに、何かを投げ渡した。
 反射的に受け取る。
 透明に輝く球体だった。
「これは?」
「トラップカプセルと呼ばれている。その中に魔物相手の戦いに役立つトラップが隠されている」
「何も見えないぜ?」
「侮るなよ、その小さな球の中には俺らの体より遥かに大きな装置が入ってる事もある」
「とてもそうは見えねえが……」
「それは遺跡から発掘された古代の道具です。私や町の各分野のエキスパートが使いやすいように改良を加えたものです」
 クムランがバルデスに代わり解説を加えた。
「残念ながら魔法を詠唱するための道具と相性が悪く、魔法使いには使う事ができませんが、それ以外は何の制約もなく自由に使えます。この町での生存率は、トラップをいかに使いこなすかにかかってくると言っても過言ではないでしょう」
「トラップって具体的にはどういう物なんだ?」
「火が噴き出る物や、物体を凍結させるもの、雷を放出し感電させるもの、いろいろです。どのカプセルにどのトラップが入っているかは、使ってみなければわかりません」
「その使い方ってのがわからんのだが……」
「簡単な事です。遺跡内において秘められた力の具現化を念じるだけです。……それとバルデスさん、あれを」
 バルデスは今度は、丸めた羊皮紙を二人に手渡した。
 広げてみるが、何も書かれていない。
「『時の行路図』だ。遺跡内でお前らが足を踏み入れた場所が自動筆記され、更に念じれば一瞬で町まで戻って来れる。逆に、町から筆記された階層への行き来も自由だ」
 ペテンにかけられた気分だ。ウェルドは疑わしげに羊皮紙をためつすがめつした。
「遺跡に潜ろうとする新米にはまず、この二つの道具を手渡ししている。謂わば俺たちの命綱だからな。なくすんじゃねえぞ」
「……どうも」
「そうだ、ウェルド。お前が昨日気にしてたもう一人の男、もう遺跡に向かってるぜ」
 ウェルドは口許だけで愛想笑いを浮かべた。
「どうも、ご親切に」

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