第一部 vs.まもの!
第2話 さいしょのなかま!
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どさ」
「ああ、あの」
ポニーテールの女の子だ。
「でも、少しそっとしておいた方がいいよ。今はさ。じゃあね」
ジェシカもまた地下遺跡に続く道へと歩いて行く。
※
教えられたその家は、一見普通の民家だった。だから、本当にここでいいのかとウェルドは逡巡する。
ノックの後、返事を待たず扉を開ける。
中の様子を見て、ここで間違いないと確信した。
床に散乱する、計算式の書きこまれた何枚もの紙。妖しい紫の光で部屋を照らす石。何より、部屋の真ん中に立つ謎の石板。
石板の前に立つ、二人の人物が振り返った。
鬱金色の髪に白い肌。小さな眼鏡をかけ、無精髭を生やした三十前後の男。
体に纏う知的な雰囲気で、一目で学者とわかる人物だった。
「クムランってのはあんたかい?」
「君は?」
そして、もう一人。
背の低い少女だ。肩まで伸ばした焦げ茶色の髪。この暑いのにすっぽり肩にかぶせた砂除けの緑のショール。緑色した二つの目はウェルドを見ると、不信と不満に彩られた。
「クムラン先生に失礼な事を言わないで!」
探していた少女だった。馬車で震えていたのとは打って変わった強気な態度に、ウェルドは苦笑した。
「俺はウェルド。セフィータから遺跡の研究に来た。酒場のオイゲンって親父にここを紹介されてね」
「ウェルド? 君が」
人の良さそうな男だった。眼鏡の奥の瞳は開放的な光に満ち、学者は両手を上げる仕草で歓迎の意を示した。
「如何にも僕がクムランだ。君の事はバルデスさんから聞いているよ。今年はこんなに新しく来る人が少ないのに、その内二人も遺跡研究の為に来たってね。珍しい事なんだ。上がってください」
隣の少女が所在なげな目をクムランにやり、ついで嫉妬をこめた目でウェルドを睨んだ。
「あんたを探してたんだ。今から一緒に遺跡に行かないか」
少女はぷいとそっぽを向いてしまう。クムランが言葉を添えた。
「ノエルさん、どうしたのですか? 急に黙ってしまって」
それが少女の名前らしい。ノエルは胸に本を抱きしめて、拗ねたような目でクムランからも視線をそらしてしまう。
「ノエルさん、せっかくお友達が誘いに来てくださったのですよ」
「あ、あんな人、友達なんかじゃありません!」
「そういう言い方はよくありませんね。ウェルドさんはノエルさんを、同じ学者仲間だと思ってわざわざ来てくれたのではありませんか?」
「友達じゃないってのは、まあ、そうですね」
ウェルドは少し、クムランに対し口調を改めた。
「なんてったって、お互い自己紹介もまだなんです。警戒されても仕方ありませんよ」
「い、嫌よ。帰って」
ノエルは体を竦め、強張らせる。
「あたしはク、クムラン先生に師事するためにこの町に来たのよ! あなたみたいな頭の悪そう
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