アリシゼーション編
episode1 隠された真実
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―――ほらほらっ、前の冒険のスクリーンショットっ! 傑作だよっ!
片っ端から散らかしまくる輩が、頻繁に俺の部屋に出入りしていたから。
彼女は俺の都合なんかお構いなしにずかずかと部屋に押し入り、自分の好みのものを遠慮なく放り込んでいった。結果俺にはとても似合わないようなファンシーでラブリー(……自分で言ってて情けなくなる表現だ)なグッズが少なくなく並び、趣味ではない記念写真が本棚の上に陳列されるようになっていたわけだ。
(…………)
もちろん、ファーやレミに悪気はないのだろう。
こんな他愛もないことにそんな裏の意味を持たせてもあるまい。
俺だって四六時中昔を思い出しているわけじゃない。
ふとした拍子に、ほんの少しだけ記憶に映るだけなのだ。
まあ。
(……仕方ない、か)
それはおそらく一生俺に付きまとうのだろう。
何をしても、何を考えても、彼女のことが頭をよぎる。
「どうされましたか?」
「……いえ、別に。こらてめーら、ヒトんちに入り浸る算段たてんじゃねえ! レミ、ツカサ、すかさず持ち込むものリストに書き出してんじゃねえ!」
だがそれは、誰だってそうなのだろう。別れた相手のことをことあるごとに思い出す輩だっているのだろうし、テレビを見るたびに昔を振り返る大人だっているだろう。俺は少しばかしそれが重症だってだけの話だ。
俺はこうして、日々を過ごしていく。
消えないしこりはあっても、それでも、前を向いて、笑って。
そうなっていくのだと、信じていた。
◆
そんな日々は、終わりを告げる。俺は再びあの異世界へ……かつてもう二度と行くことは無いだろうと本当の意味で闘う世界へと足を踏み入れることになる。失ってしまった人を、もう一度失う前に。失ってしまった人を、助けるために。あの日、届かなかった手を、もう一度伸ばすために。
その激動の日々は、一言の電話から始まった。
―――病院にいらしてください。牡丹が入院なさいましたので。
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