第14話 男の直球勝負!野球の華は大逆転
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受けた手を中心にして体中が痺れやがる!)
番は、自分が取った球を見た。手に持っていたのは普通の野球ボールだ。そのボールが番にこれ程までの衝撃を与えたという事は、あのピッチャーの投げた球の速度はどんでもない速度である事が分かる。
「お前だな、轟番ってのは?」
「誰だてめぇ?」
ボールを片手に草野球場へと降りてきた番とボールを投げてきた少年の下へと向った。近くで見るとそれは少年と言うよりは青年に近かった。背丈は番と同じか若干低い。昨日番の野球を遠目から見ていた謎の青年だったようだ。
「昨日のあんたのバッティング、見せて貰ったぜ」
「だったら何だ?」
「俺とサシで勝負しないか? あんたのバッティングと俺のピッチング。どっちが強いかケリをつけてぇ」
「面白ぇ、その喧嘩買った!」
相手の要求に応じ、番は持っていたボールを投げ返した。その球をピッチャーはグローブでキャッチし、ニヤリと自信に満ちた笑みを浮かべた。キャッチした動作や顔つきからしてかなりの腕と見た。しかし、番とて野球にはそれなりの自信がある。幼い頃は良く近所の子供達や大人達と集まって野球をたしなんでいたものだ。
「あんちゃん、このでっかいあんちゃんも参加するのか?」
「悪ぃな、1回だけこのでっかいあんちゃんにピンチヒッターをやらせてくれないか?」
「良いぜ、でっかいあんちゃんもがんばれよ。このあんちゃんのピッチングすげぇんだぜ。何せ稲妻を投げられるんだからな」
稲妻? 何の事だ。
意味深な発言をした子供の言葉に一瞬眉を吊り上げる番だったが、気にせずにバッターボックスへと登った。羽織っていた学生服を脱ぎ捨て、白いランニングシャツ一枚の状態でバットを構える。
「そんじゃ、まずは軽くウォーミングアップっと行きますか」
「何時でもきやがれ! 初球からスタンドへ叩き込んでやるぜ!」
「果たしてそう上手く行きますかねぇ?」
自信に満ちた笑みと共に青年がピッチングフォームを取る。片足を吊り上げ、番を睨み、そしてボールを持っていた右手を振り上げる。
「っっ!」
咄嗟に番は本能的にバットを振るった。その瞬間にボールが番の振るったバットに当たり金属音が辺りに響いた。
振るったバットが振るえ、番は震える自分の両手を見た。
(くそっ、さっきのあれでも思ったが何て球だ。まるで鉄球を直に打ってるみたいだぜ―――)
番の額に冷や汗が流れる。昨日のヤクザの球なんてまるでテニスボールの様に思えてしまう程に今打った球は硬く打ちにくい球だった。
因みに、番が打った球はレフトスタンドへ飛んで行き、そこで落ちた。俗に言うファウルボールだった。
「流石だな。大概の奴はあれを打てないんだがなぁ」
「ちっ、余裕こきやがって! だが、初球で俺を殺さなかったのがお前の敗因だな。お前の癖は分
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