第14話 男の直球勝負!野球の華は大逆転
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、ダイバンチョウは振り抜いた。青い稲妻は真っ赤な炎を纏い、遥か上空へと飛び去っていく。その打球は成層圏を突き抜けて、暗く満天の星空が漂う広大な宇宙へと消えてしまった。
その光景を目の当たりにしたピッチャー星人は、言葉なくその場に膝を崩してしまった。男が膝を突くのは敗北を意味している。そして、それは同時にダイバンチョウの勝利を意味していた。
木刀ブレードの剣先を地面に刺し、打球の飛んで行った方をダイバンチョウは眺めつつ一言漏らした。
【やっぱ野球は、9回裏ツーアウトからだぜ!】
決め台詞をバッチリと決め、ダイバンチョウは膝を崩しているピッチャー星人の元へと歩み寄った。
【フフフ……】
すると、ピッチャー星人の口からかすかな笑い声が聞こえた。かと思うと、それはすぐさま盛大な大笑いへと変貌し、ピッチャー星人は天に向かい大笑いを決めた。その光景を目の当たりにしたダイバンチョウは暫く何も出来なかったのだが、やがて笑いを終え、立ち上がったピッチャー星人を見入った。
【負けたよ、ダイバンチョウ。俺の稲妻を打ったのは宇宙広しと言えどもあんただけだ】
【いや、俺も一度お前に負けた身だ。そして、その敗北の味を噛み締めて俺は這い上がってきた。今度はお前の番だぜ。ピッチャー星人】
【あぁ、もっともっと特訓して、稲妻投法より凄い技を身につけてやる。そしたら、もう一度勝負してくれよダイバンチョウ】
【おう、このダイバンチョウ。喧嘩だったら朝の8時から夕方の6時まで受付中だぜ!】
勝負を終えた男達との間には深い友情が結ばれる。それに国籍、ましてや星の違いなど稀有に等しい。それは互いに血を流し拳を混じ合わせた者同士にしか分からない深い絆なのだ。
【さて、勝負も終えたし、今度は何処の星へ特訓に行くかなぁ?】
【ちょっと待てよ、すぐに此処を出るのか?】
【あぁ、早く今よりも強くなりたいしな】
荷物を纏めて地球を去ろうとするピッチャー星人。そんな彼に対し、何を考えたのかダイバンチョウが彼の肩を掴んで引きとめた。
【折角だ、明日の夕方にでも飯食いに来いよ。美味い土産話にでもなるだろ?】
【良いのか?】
【お前とは今日からダチ公になったんだ。ダチ相手に遠慮は無用だぜ】
【そうか、なら遠慮なく奢って貰うぜ、ダイバンチョウ】
***
丁度その頃、月軌道ではゴクアク星人達が密かに進めていた地球人類抹殺計画が最終段階へと差し掛かっていた。砲台は既に完成し、弾頭も装填し終え、あとはそれを日本に向けて発射するだけだった。
【いよいよか。あの忌々しいダイバンチョウともこれで別れとなると清清しいものだな。直ちに発射秒読みを始めろ!】
【秒読み開始! 発射まで10秒……ん?】
いざ、秒読みを開始しようとし
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