自称王と他称王
一話
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が、それは面倒排除の為であり、他は血肉沸き立つ闘争が前提である。
そんな結構アレなアレクもアインハルトと手合わせした場合、楽しめないどころか何か面倒な事に成りそう、なんて失礼な事を考えているので避けたいのだ。因みに、アレクのアインハルトの印象はストーカー予備軍まで昇華してたりする。
学院では視界の端に好奇心満々の目があったのでそれを理由に逃げられたのだが、此処は隔離されたように人が居ない。
誰か来い、誰か通れ。そんな怨念が何処かで受理されたのか、アインハルトの後方から漸く人影が一つ見え始めた。
見た感じ年上である。なんとか助けてもらおう。その為にはどうにか味方にしよう。アレクは必死に考え、言った。
「すいませーん! 痴女に襲われそうなんで助けてくださーい!!」
「な……」
「はあ?」
あまりの言い分にアインハルトは硬直し、通り掛かったノーヴェ・ナカジマは事情が掴めず、片眉をひん曲げた。実のところ、アレクも中々にテンパっていたのである。
「で、どういう事なの?」
それはこっちが訊きたい、とアレクは思ういながらも口を開く。
助けを求めたノーヴェはアインハルトが防護服を纏っていた事もあり、なんだかんだで割って入ってくれた。それで自分を有利にすべくアレクはちょっと盛った説明を話し始めようとした。
だが、その矢先に「自称、覇王イングヴァルト」とノーヴェが呟いた辺りからなんか空気が可笑しくなった、とアレクは思う。アインハルトが夜な夜なストリートファイトをし、傷害事件紛いな事をしている容疑者と知っていれば付いて行けただろうが、生憎とアレクは知らなかった。
なので何故かアインハルトとノーヴェでストリートファイトに展開していた、としか言いようが無い。
ただ、あまりにもガチな手合いであり、ノーヴェは何か言っているけど自分が巻き込んだ人――とアレクは思っている――なので、ちょっとだけ手を出した。助走をつけ蹴りを放とうとするノーヴェに合わせ、アインハルトの背に回り込み、「痴女」とボソッと呟いた。そしてアインハルトは顔を真っ赤にして吹き飛び、自分は回避して事なきを得た。
ちょいと離れた所で背と胸と尻が縮み、平均より発達してない身体に戻ったアインハルトを見て、これで一件落着……と思っていたらノーヴェに声を掛けられた。
ああ、また警防署で小言か、と思っていたらノーヴェは姉に連絡しだし、何時の間にか目の前に居る執務官も出てきた、というのがアレクの見解である。
アレクの前に座る執務官、ティアナ・ランスターはふんふんと頷きながら話しを聞きながら、ノーヴェのジェットエッジから得ていた情報を違いが無いか照らし合わせていた。
結果は表現の違いはあれど遜色無く嘘も無い。この続きは別室で寝ているアインハルトが
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